親知らずが生えてくると、なんとなく抜かなきゃいけないイメージをもっていませんか?
その親知らずを抜くときは相当の痛みを伴うので、親知らずに関してマイナスのイメージがどうしても先行してしまうと思います。
しかし、この親知らずは実は抜かなくていいケースも存在するのです。
痛い思いをして抜くよりも、できればそのままにしておきたいですよね。
今回は、親知らずについての疑問を解消していきましょう!
親知らずとは
「親知らず」とは、大人の奥歯(大臼歯と呼ばれる)の中で最も後ろに位置する歯のことを指します。
前歯から奥に向かって数えて8番目の歯がそれですね。
親知らずは永久歯の中では一番最後に萌出する歯です。
永久歯は大体は15歳前後で最後まで生え揃いますが、親知らずは生える時期が概ね10代後半~20代前半にかけて生えてきます。
昔はこのくらいの年齢になると親元を離れ独立している人が多かったため、親に知られないままに生えてくる歯であることから親知らず、と呼ばれています。
生えてくる最中に痛みがなく、気付いたら親知らずが成長していたというケースもあれば、歯肉を突き破って斜めや横向きに生えてきて激痛を伴うケースもあり、人によって生え方は様々です。
親知らずは抜いたほうがいいの?
よく「親知らずは早めに抜いてしまった方がいい」と巷では言われています。
実際に親などに「歯科医院で抜いてもらおう」と言われ、早めに抜いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
親知らずを抜くべき場合というのは限られており、必ずしも抜かなくてよいのです。
後述しますが、親知らずを抜いた後もしばらく激痛が続くことがあり、満足に物を食べられないこともあります。
もし抜かなくてもいいケースであったのに「親知らずは抜くものだ!」と思いこんで痛い思いをしてしまうと、なんだか損した気分になりますよね。
では、具体的にどのような場合には親知らずを抜いたほうがいいのでしょうか?
■ 抜くべきケース
親知らずが横や斜めに生えている人
横もしくは斜めに生え始めたな、という人は早めに抜歯を検討しましょう。
このような生え方の親知らずは痛みを伴ったり、前の歯を押しのけて全体の噛み合わせを変えてしまう可能性もあります。
普段から歯磨きをきちんとしていても、いつ腫れや痛みが出るかわかりませんし、腫れや痛みが出るとその部分をしっかりと磨けずに虫歯も引き起こしやすくなります。また女性の場合、妊娠・出産の時に痛みが出てもすぐに抜歯ができないケースもあります。
ですから、親知らずが変な方向に生え始めたな、と思ったらできるだけ早く抜いてしまいましょう。
親知らずの影響で虫歯・歯周病になりかけている場合やなった場合
親知らずの周辺は細菌が溜まりやすくなっています。
親知らずだけでなく、その手前の歯に関しても虫歯や歯周病になりやすいのです。
また、親知らずが痛みを伴っている場合は歯磨きをしにくいでしょうから、当然汚れも溜まりやすくなります。
そういった理由で虫歯や歯周病になりやすいので、虫歯を見つけたり、血が良く出るなと感じたら重症化しないうちに親知らずを抜いてしまいましょう。
噛み合わせが合わない場合
親知らずが生えても噛み合わせが合わずに違和感が残る人がいます。
そういう場合、顎や顔の形にも影響してくるので抜いてしまう方が賢明です。
では、次に抜かなくても良いケースを見ていきます。
■ 抜かなくてよいケース
親知らずが真っすぐ綺麗に生えた
親知らずがまっすぐに生えてきたならば、親知らずを抜かなくても大丈夫です。
親知らずがまっすぐ生えていれば、歯磨きがしやすいので汚れも溜まりにくいので問題ありません。
親知らずの噛み合わせが合う場合
まっすぐ生えてくると大体噛み合わせも合います。
噛んでいても違和感がなければそのままにしておいて問題ありません。
真っすぐ、かつ噛み合わせが合っているならば他の歯となんら変わりありませんから、普通に歯としての役割を果たしてくれます。
親知らずに歯茎が被っていない
親知らずに歯茎が被ってしまう可能性もありますが、そうでなければそのままで問題ないです。
きちんと歯磨きができるような状況ならば抜く必要はありません。
仮に多少歯茎が被っていたとしても、歯科医院でその部分の歯茎を切除することによって親知らずを露出させることも可能です。
医科歯科ドットコム編集部コメント
以上のように、
・痛みや腫れが繰り返す、我慢できないほど痛い
・歯が変な方向に生えてしまい歯が磨きにくい
・虫歯や歯周病のおそれがある
場合にはセルフケアも難しい為、抜歯を視野に入れ歯科医院へ受診しましょう。
そして、
・真っすぐ、かつ噛み合わせも問題ない
・歯茎が被っていない
のであればそのままで問題ないと思われます。
「痛み・腫れがあるのかないのか」が抜くか抜かないかの重要なポイントとなります。
自分の親知らずの状態はどうなのか、そろそろ生えてきそうな人、または既に生え始めている人はこまめにチェックするようにしましょう!
以上の事を踏まえて、歯科医師に相談されてはいかがでしょうか?
監修日:2020年1月10日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医