「気分が沈む」「疲れやすい」などメンタル面の不調を感じたとき、原因として真っ先に思い浮かぶのはストレスではないでしょうか。ですが、実は「噛み合わせの悪さ」が原因かもしれません。
噛み合わせと全身の健康の関係はあまり知られていませんでしたが、近年では臨床の蓄積により、少しずつ解明されています。
その結果、噛み合わせの悪さは、虫歯や歯周病のリスクが高まるなどの体への影響のほか、自律神経の乱れやイライラ、不眠などのメンタル面にも大きく影響します、
身体の乱れは、心の乱れに繋がっていく事ことが指摘されているのです。
噛み合わせの悪さが自律神経のバランスを崩す
噛み合わせを改善することで症状が良くなる代表例が「不定愁訴(ふていしゅうそ)」です。
不定愁訴とは、自覚症状はあるのに検査では原因となる病気がわからない状態の総称で、その症状は肩こりや手足のしびれ、食欲不振、めまい、頭痛、不眠症、耳鳴り、味覚の異常、倦怠感など、多岐にわたるのが特徴です。
「自律神経失調症」と呼ばれることもあり、メンタル面にも大きな影響を与えることで知られています。
自律神経は全身の器官をコントロールしているため、バランスが崩れると、さまざまな症状となって表れるのです。自律神経がバランスを崩す原因は、過度のストレスや生活リズムの乱れ、急な環境の変化などさまざまです。
しかし、そのひとつに、正しい位置からずれてしまった頚椎(首の骨)がすぐそばを通る自律神経を圧迫し、神経内で伝達不良が起きている場合があります。
頚椎のずれが起こるのは、噛み合わせの悪さが原因という可能性があるので、噛み合わせを治してやることで、自律神経の問題も解決するとされています。
ストレスが口内トラブルを招くことも
メンタル面と口内トラブルの関係は深く、噛み合わせが悪いとストレスを受けやすくなったり、逆に強い心理的ストレスがかかることで噛み合わせに違和感を覚えたり、口内にトラブルが発生したりする場合があります。
その症状は、虫歯でもないのに歯が痛む、喉が渇く、舌に痛みを感じる、口内炎ができるなどさまざまです。
これらは総称として「歯科心身症」と呼ばれ、原因は強いストレスが自律神経のバランスを崩してしまうためと考えられています。
なお、うつ病などの精神疾患にかかった場合も、似たような症状が出ることがあります。
また、「歯ぎしり」は日常のストレスを発散するために行っているといわれており、ストレスが高まると睡眠時など無意識の歯ぎしりが増える場合もあります。
困ったことに、歯ぎしりは歯にダメージを与え、噛み合わせを悪化させる原因のひとつでもあるのです。
放置しておくとストレスが噛み合わせの悪化を招き、またストレスを受けやすくなる…という負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあるため注意が必要です。
このように口と体の健康状態は意外なほど結び付いており、噛み合わせの悪さはメンタルにも思わぬ影響を及ぼしかねません。
心身ともに健康で美しくあるために、噛み合わせを治療することはとても大きな意味があります。
「たかが噛み合わせ」と思わずに、気になることがあればまず歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか。
医科歯科ドットコム編集部コメント
噛み合わせが体調以外にも影響するなんて初めて知りました。
無駄なストレスを抱えないためにも、一度受診するのはアリですね!ご予約は医科歯科.comから!
監修日:2020年01月06日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医