まだまだ暑くて寝苦しい夜が続きますが、あなたはぐっすり眠れていると自信を持って言えますか?
大人になると、誰しも寝つきの悪い日や熟睡できない日があると思います。睡眠不足が慢性化すると、体の疲れが取れず体調も崩してしまいます。
一般的に、睡眠不足の原因は「ストレス」などと言われることが多いですが、実は“歯の噛み合わせ”が睡眠障害を引き起こすこともあるのです。
眠れなくて困っているという方は、自分の噛み合わせについてチェックしてみると原因解明に繋がるかもしれません。
噛み合わせによる悪影響の例
噛み合わせが悪いと、様々な影響を及ぼしてしまいます。噛み合わせによる悪影響として代表的なものは以下の通りです。
・歯の痛み
・片頭痛
・肩こりや首筋、こめかみなどの痛み、頭痛
・起床時に疲れを感じる
噛み合わせが悪いと左右の歯に均等に力を加えることができないため、どちらかの歯の負担が大きくなります。
そうなると、顔や体のバランスが崩れゆがみの原因となるのです。
顔の筋肉の一部にゆがみが生じると、それを調整するために、その周りの筋肉にも影響が出ます。
左右どちらかの歯で噛む癖があることから顔の筋肉がゆがみ、そのために首や肩、背中の筋肉までもが不自然な動きをするようになります。
これが、体の様々な箇所の痛みとして表れてしまうのです。
なぜ睡眠障害を引き起こすのか?
では、噛み合わせが睡眠にどのように影響するのでしょうか。まず考えられるのは「自律神経」です。
噛み合わせが悪いことによって頚椎にねじれが生じると、自律神経に異常が生じて交感神経と副交感神経の切り替えが上手にできなくなってしまいます。通常は寝るときやリラックスしているときには副交感神経が優位になりますが、この切り替えができないと交感神経が優位に働き、常に体が緊張状態となり睡眠障害を引き起こす可能性が高くなってしまいます。
また睡眠中の歯ぎしりや食いしばりも、噛み合わせが悪い人の場合には、更に自律神経に大きく影響してきます。これらはストレスなどで引き起こされることが多いため、日ごろからストレスを感じている人は要注意です。
ぐっすり眠るためのコツとは?
噛み合わせによる睡眠障害を治すには、まずは噛み合わせを改善しなくてはいけません。
歯医者では歯列矯正以外にも、マウスピース(スプリント)などを用いて噛み合わせ治療を行うことができますので、一度相談してみると良いでしょう。更に、自分で「噛み癖に注意して食事をする」ことがとても重要になります。
噛み癖があると、せっかく治療をしてもまた噛み合わせがずれてしまう可能性がありますので、食事の際やガムなどを噛む際には注意するようにしましょうまた睡眠を改善するためには以下のような改善方法もあります。
・軽い運動やストレッチでストレス発散をする
・寝る1~2時間前には、スマホやPCをいじらない
・日中、食いしばらないようにする
・起きたら朝日を浴びる
軽い運動やストレッチはストレス発散だけではなく、体をリラックスさせる働きもあります。
また運動をすることで入眠をスムーズにしてくれるでしょう。またスマホやPCから発せられるブルーライトは刺激が強く、交感神経を刺激してしまうと言われています。寝る1時間前にはブルーライトを浴びないようにすると良いでしょう。
食いしばる事により、咀嚼筋(特に咬筋と側頭筋)の働きが異常に強いと、寝ている間も歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなり、睡眠を妨げる可能性が高くなります。
更に、起床時に朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、セロトニンとメラトニンという睡眠を司る物質が分泌されるようになります。
朝日を浴びることで夜にぐっすりと眠ることができるのです。「噛み合わせ」を直すのは一朝一夕ではできません。
ですが、良質な睡眠は日頃のちょっとした工夫からでも改善可能です。ぜひ噛み合わせの治療と一緒にぐっすり眠るための工夫から取り組んでみるのもいかがでしょうか。
医科歯科ドットコム編集部まとめ
「噛み合わせ」の治療を行うと多くの不調がいっきに改善されるかもしれませんね。
心あたりがある方は是非お近くのクリニックへご相談ください。
監修日:2019年10月29日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医