歯の生え変わり時期は、子供の虫歯が増える時期!3大ポイントを歯科医が伝授!


歯の生え変わりは、子供の成長を感じられるうれしい出来事です。
ただし、歯の生え変わり時期は、口の中の環境が大きく変化するので、特に気を付けてケアしたい時期でもあります。
今回は、乳歯と永久歯の違いや生え変わり中のケアで気を付けるべきポイント、生え変わりの時期に起こりやすいトラブルなどを紹介します。
 

乳歯と永久歯はこんなに違う!

実は乳歯から永久歯への生え変わりは、人間だけでなくほぼ哺乳類全般に見られるものです。
小さな赤ちゃんのうちは、まだあごの骨が発達していないため、大人の歯を並べるのに十分なスペースがありません。
そこでまず乳歯を生やし、体の成長とともにあごの骨が発達してきたときを見計らって、永久歯に生え変わるというしくみになっているのです。
 
人間は、歯の生える時期に個人差がありますが、乳歯は生後6ヵ月頃から生え始め、3歳頃までに生えそろうのが一般的です
乳歯は大人の歯の本数と比べると20本と少なくなっています。その後、乳歯は6歳から14歳頃にかけて徐々に大人の歯である「永久歯」へと生え変わっていきます。
永久歯は、最も奥に生える第三臼歯(親しらず)まで含めると32本と数が多く、乳歯より一回り大きくて少し黄色みを帯びているのが特徴です
乳歯に比べて長い根を持ち、歯の表面のエナメル質とその下の象牙質の厚みは乳歯の約2倍と、非常に丈夫な構造になっています。
 

歯の生え変わりの時期に気を付ける3つのポイント

歯の生え変わり時期は、子供の虫歯が増える時期でもあります。
このときにママが注意しておきたい3大ポイントを紹介します。
 

Point 1 歯ブラシの当て方を工夫する

歯が生え変わる時期の口の中は、乳歯と永久歯が混在している状態です。しかし、乳歯と永久歯では大きさが違うので、歯並びがデコボコになっています
そのため、乳歯だけのときと同じように歯磨きしたのでは、磨き残してしまうことも少なくありません。
特に5歳から6歳頃に生え変わることが多い「第一大臼歯(6歳臼歯)」は、完全に生えるまでに1年ほどかかります。
その生え変わり途中は、手前の乳歯より一段低い状態であるため、歯ブラシが届きにくい状態です。
このようなときは、歯ブラシを口の前からではなく真横から入れて磨くと良いでしょう。子供だけでは難しいので、大人が仕上げ磨きをしてあげるのがおすすめです。
 

Point 2 生えたての歯は、特にしっかり虫歯予防対策を行う

永久歯は乳歯に比べて丈夫な構造ではありますが、生え立ての時期は表面が粗いために汚れがつきやすく、また細菌の出す酸に対する抵抗力も低いため虫歯になりやすい状態です。
歯科医院でフッ素を塗ってもらったり、フッ素配合の歯磨き粉を使ったりして、虫歯予防を心掛けてください。
フッ素には、虫歯菌の出す酸により溶け出した歯の修復作用である「再石灰化」を助けたり、歯の質を強化したり、虫歯菌が酸を出すのを抑える働きがありますので、虫歯予防に役立ちます。
 

Point 3 乳歯の虫歯は治しておく

永久歯は、ある日突然生えてくるものではなく、乳歯の下で少しずつ成長しています。
乳歯が虫歯だと永久歯の歯並びや歯の質に影響を及ぼしてしまうので、もし乳歯に虫歯があるなら早めに治しておきましょう
永久歯と違い、乳歯の虫歯は黒くならず、歯と歯の隙間にできることが多いために気が付きにくいので、普段の仕上げ磨きのときにチェックしてください。
 

歯科医院で「歯の生え変わり」を診てもらったほうがいいケース

歯が生え変わる際、以下のような症状が出た場合は永久歯の生え方に影響を与える可能性があります。
このようなときは、一度歯科医院で相談してみるといいでしょう。
 

乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてきた

乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてきたときは、歯科医院に診てもらいましょう。乳歯がすでに揺れている場合は、自然に抜けて生え変わることが多いのですが、そうではない場合は行き場を失った永久歯がずれて生えてきてしまう可能性があります。歯の状態によっては、乳歯の抜歯が必要になることもあります。
 

乳歯が生え変わらない

歯の生え変わり時期には個人差がありますので、1年から2年のずれは珍しいことではありません。
しかし、中には乳歯の下に永久歯が用意されていない「先天性欠如」の場合もありますので注意が必要です。
2007年から2008年に日本小児歯科学会が全国の7歳以上の子供15,000人を調べた結果では、10人に1人の割合で永久歯が生えない「欠損歯」の子供がいるとされています。
 

左右対称に生え変わらない

例えば、上の前歯の右側は生え変わったのに左側はなかなか生え変わらないというような場合、噛み合わせがずれてしまうことがあります。
歯は、誰もが一生付き合っていく大事な物です。
生え変わりのときからしっかり正しいケアを行って、お子さんの健康できれいな歯を維持してあげてください。
 

<参考>
日本人小児の永久歯先天性欠如に関する疫学調査|日本小児歯科学会学術委員会

 

医科歯科ドットコム編集部まとめ

お母さんには嬉しい情報でしたね!お子さんの生え変わりの時期にしっかりケアして素敵な大人の歯に生え変わりますように。
でも病院で一度しっかり見てもらいたい!という方は歯医者さんで相談してください。
 
監修日:2019年10月23日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医