実は歯周病を患う妊婦さんは早産および低体重児のリスクが約4.7倍というデータがあります。そのリスクを避けるためにもぜひとも受診をしていただきたい妊産婦歯科健診という健康診断をご存知でしょうか。健康診断の歯科版とも言えるこの検査について今回ご紹介します。
目次
1.歯周病にかかると早産および低体重児のリスクが約4.7倍に!
厚生労働省:第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会(ペーパレス)「資料3 牧野構成員発表資料」p.5によると、以下のように記載されています。(一部抜粋)
17報の症例対照研究 総数 10,000名以上のメタアナラ イシスにより、歯周病の早産に対する危険率は2.01倍、低体重児出産に対する危険 率は2.20倍、早産および低体重児出産に対する危険率は4.68倍である。
妊婦さんの歯周病は、早産や低体重児出産等の妊娠トラブルを引き起こす原因になっています。そのリスクを減らすため日頃から歯医者さんに行き、虫歯や歯周病などお口のトラブルがないか確認してもらうことが大切です。
2.検査に必要な麻酔やレントゲンは妊婦さんにとって大丈夫?
実際に歯医者さんに行ったときにレントゲンを撮ったり、治療の前には麻酔をおこなったりします。妊婦さんにとっては身体にどのような影響があるのでしょうか。歯科医師に聞きました。
ただし、全く影響が0ではないということと、ストレスを考慮して妊娠中は可能な限り麻酔、レントゲン、投薬はさけます。急性の炎症や、痛む部位がはっきりしない場合など放置するよりも麻酔やレントゲンを行うメリットが多いと考えられる場合は、説明の上、患者さんの了解を得て行う場合もあります。
レントゲンもデジタルであれば問題ありません。
歯科医師の回答から以下のことが言えます。
・レントゲンや麻酔の影響はないというわけではないが、安定期であれば特に問題はない
・麻酔やレントゲンをすることでメリットが多ければ同意の上行う場合もある
・デジタルレントゲンであれば問題はない
3.お住まいの地域で妊産婦歯科健診の受診を
厚生労働省:第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会(ペーパレス)「資料3 牧野構成員発表資料」p.6によると、妊産婦歯科健診の重要性について以下のように記載されています。(一部抜粋)
・妊娠中は、女性ホルモンの急激な増加による口腔環境の変化や、「つわり」による嗜好変化や歯磨きの困難などによって、虫歯や歯周病になりやすく、妊婦さん自身が初期症状に気付きにくい事も多い。
・「つわり」がおさまる4~5か月頃に歯科健診を受診してもらい、比較的体調の安定した妊娠中期に必要な歯科 治療を行うことを勧める。
まだあまり浸透してはいないようですが、地域によっては、妊婦健診同様に妊産婦さん向けに歯科健診が行われています(妊産婦歯科健診)。
たとえば東京都の渋谷区にお住まいの方であれば、渋谷区内の契約歯科医療機関にて、妊娠中に1回、無料で妊産婦歯科健診を受けることができます。受診の際は、契約歯科医療機関へ事前に連絡して渋谷区妊婦歯科健康診査票と母子健康手帳の持参が必要です。
東京都でも市区町村によって、対象者や契約医療機関が異なる場合があるので、現在お住まいの地域の役場のホームページを参考にしてください。
早産や低体重児のリスクを減らすためにもまずは妊産婦歯科健診を受診しましょう。
参考ページ
厚生労働省: 第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会(ペーパレス) 資料