前回、インプラントは歯を失った部分に対して他の歯を削ることなく歯を補うことができ、将来の自分の歯を守る選択にもなるとお話をしていただきました。
今回はインプラント治療とは実際どういった治療なのか、インプラント治療専門クリニックを持つ、医療法人Imamiya Medical Alliance理事長 今宮克明先生にお話を伺いました。
そもそもインプラントってどんな治療?
基本的には歯がないところ、もしくは歯があっても抜かないといけないところに人工歯根を埋入して歯を補う治療になります。
顎(あご)の骨に人工歯根を固定するための固定源を作り、その上に人工歯をつけることによって、もともとあった自身の歯と遜色のないように噛めるようにしていきます。
金属アレルギーの方も受けられる!?身体にやさしいその素材とは?
金属アレルギーといっても、どの金属でアレルギー反応を起こすかは人それぞれ異なります。ですから、金属アレルギーがあるためインプラント治療を行えないということではありません。
インプラント治療で使用する金属はある程度限定さているため、金属アレルギーがあったとしても治療を受けられる場合があります。
たとえば、インプラントを骨の中で固定する部分(フィクスチャー)はチタン合金、その上の土台もチタン合金のこともありますが、最近はジルコニアというセラミック素材の白い素材の土台を使うことがあります。
その上にメタルフリーの人工歯を接着すると、歯肉の上に関してはほとんどメタルがない状態となります。
金属を使用すると、金属からイオンなどが溶け出すことにより、歯肉の変色や生体における被害作用、金属アレルギーなどを起こす可能性があります。
金属を避ける患者さんが増えているということもあり、その要素をなくすというのも最近は可能になってきています。
チタンは人体の骨に直接つき一体化しやすい金属で、股関節の代用などにも使われています。また、チタンは時間をかけて骨と結合する性質があり炎症を起こしにくいため、身体に対してやさしい金属だと言えます。
インプラント治療は保険適用外。保険適用は限られた場合のみ
基本的には自由診療のため自費になります。もちろん医院によって異なりますが、1本あたり30万~50万円が相場になります。(医科歯科ドットコム調べ)
保険が適用される症例は、特殊な疾患をお持ちの方や、先天性疾患と診断され顎骨が1/3以上欠損しているなど、顎骨の形成不全のような限られた場合のみです。
医科歯科ドットコム編集部コメント
身体にやさしい素材を使ったものもあるそうなので、金属アレルギーでインプラント治療を断念していた方は歯医者さんで相談してみてはいかがでしょうか。
次回はインプラント治療を実施する際の骨再生についてお伺いします。
取材日:2019年12月19日
プロフィール
歯学博士
北海道医療大学 臨床教授
厚生労働省認可 歯科指導歯科医
東京ミッドタウンデンタルクリニック顧問
青山学院大学大学院・修士課程修了(MBA取得)
国際口腔インプラント学会(ICOI) 専門医
日本口腔インプラント学会(JSOI) 専門医
NPO法人 近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医
公益社団法人 日本歯科先端技術研究所 フェロー
京セラメディカルPOIインプラント公認インストラクター
日本顎咬合学会所属
ミシガン大学インプラント審美歯周外科サーティフィケィト取得
北日本インプラント研究会 理事
北海道医療大学歯学部卒