歯科医師が教えてくれる!長引く口内炎 実はそれもっと怖い病気かも!


口の中にポチッとできた口内炎。
食事をしたり、飲み物を飲むたびにピリピリと痛むので、憂うつになる方も多いと思います。
放っておいても自然に治ることがほとんどですが、なかなか治らなかったり、何度も再発をするというときは他の病気である可能性があります。
 

そもそも口内炎って何?

口内炎とは特定の病気のことではなく、口の中やその周辺に起こる炎症を総称したものです。
口の端っこにできたものは「口角炎」、唇にできたものを「口唇炎」、舌にできれば「舌炎」と呼び分けることもありますが、これらはすべて口内炎の一種です。ひと言で「炎症」といっても、外傷によるものから、ストレスに起因するもの、ウイルスによって引き起こされているもの、アレルギーによるもの、栄養不足によるものなど、原因はさまざまです。
 
よくビタミンB2が欠乏すると口内炎になると言われています。
実際、これは研究によって解明されていることで、飲み薬としてビタミン製剤を渡されることもあります。
ただし、これは「ビタミン不足によって口内炎ができている人」に対する治療です。
レバーや乳製品などビタミンB2が豊富なものをたくさん食べても治らないという場合、原因はまったく別の病気かもしれません。
 

口の中にできるのは口内炎だけじゃない

異常はあるけれどすぐに治るだろうと思っていたら実は違う病気だった、というケースも少なくありません。口内に発生する粘膜疾患は大きく分けると「えぐれているもの」「腫れているもの」「変色しているもの」の3パターンに分類することができます。
それぞれどのような病気があるのか見てみましょう。
 

えぐれている場合

白っぽい小さい潰瘍は「アフタ」の可能性があります。
アフタとは口の中にできる白っぽい楕円形の浅い潰瘍のことで、頬や唇を噛んでしまったり、菌に感染することで発症します。
アフタ性口内炎がその一例で、皆さんの思い浮かべる口内炎ももしかするとこのタイプかもしれません。特別な治療をしなくても1週間程度で自然に治ってしまいます。
ただし、なかなか治らない場合は他の病気の可能性があります。
例えば、えぐれているところの周囲が硬い場合は「口腔がん」の恐れがあります。リンパ節を経て全身に転移することがあるので早期発見が重要です。治りが遅いときは念のため検診を受けてください。
 

腫れている場合

「腫れ」といっても粘膜に水ぶくれなどの異常があるものもあれば、深部に原因があるケースもあります。
いつのまにか唇などがパンパンに腫れていて、痛みがなく、表面に異常が見られないという場合は「アレルギー」や「自律神経失調」などが原因かもしれません。
これらは重症化しない場合がほとんどなので、軽度な場合には治療も必要なく半日~数日程度で自然に治ります。
ただし、アレルギーの場合は原因物質の摂取を止める必要があります。薬などをもらって飲んだ後に症状が出た場合は、すぐに服用を止めて医療機関に相談してください。
 
一方、透明~白色の水ぶくれがあるときはウイルスが原因の可能性があります。
自然治癒しないことが多く、抗ウイルス剤の内服、注射、軟膏の塗布などの治療が必要です。
また、赤みを伴った腫れで、ところどころ白くなっている場合は「口腔がん」の可能性があります。他のがんと同様に転移するため、早めに発見することが大切です。
 

変色している場合

口内に白色・黒色などの変色が見られるケースです。
白いときは「白板症」「カンジダ症」「口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)」「地図状舌(ちずじょうぜつ)」など、黒いときは「悪性黒色腫(口腔がん)」「母斑(ほくろ)」などがあります。
特に注意したいのは「白」に変色している場合です。舌や歯茎などが白っぽくなる症状(口腔扁平苔癬など)はがん化することがあるので、異常を感じたらなるべく早めに診察を受けてください。
また「黒」に変色している場合ですが、無害なほくろかと思っていたら実は悪性黒色腫だった、ということも。悪性黒色腫の場合は墨汁をこぼしたような状態が日を追うごとに拡大する、といった特徴があります。
治療が早いほど生存率が上がるので、こちらも異常を感じたらすぐに治療を受けるようにしてください。
 

「おかしいな…」と思ったら診察を

一般的な口内炎は約1週間程度で自然に治ってしまいます。裏を返せば、それ以上の期間が経っても治らないときは、自然治癒が期待できない病気である可能性が高いといえます。
なかには恐ろしい病気もありますが、早期発見・早期治療を心掛ければ、被害も少なくなります。「おかしいな…」と思ったら、念のため診察を受けてみてください。
 

医科歯科ドットコム編集部まとめ

たかが口内炎、とたかをくくっていてはだめなんですね。私も気を付けていこうと思います。
実は口内炎は歯科医院でも診てもらうことができます。「口内炎だけのために病院へ行くのは少し面倒だな、、、」という方も、歯の定期チェックやメンテナンスのついでに口内炎を診てもらってはどうでしょうか。医科歯科.comからなら、簡単に歯医者さんの予約ができるので便利ですよ。

 
監修日:2019年12月17日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医