お口のトラブルの代表とも言える「口内炎」ですが、誰もが一度は経験があるのではないでしょうか。痛くて気になる、食事の度に染みるなど、症状が長引くとイライラしますよね。通常1~2週間で自然治癒するので問題ありませんが、症状が長期化するようなら、一度クリニックで診てもらうのがおすすめです。
治療は、歯科、皮膚科、耳鼻咽喉科で可能です。今回は、意外と知られていない、各科の治療の違いをご紹介します。
口内炎に必要な治療ってどういうもの?
一口に「口内炎」といっても、次のようにいくつかタイプがあります。
・アフタ性口内炎…最もよく見られる口内炎。おもな原因は睡眠不足や栄養不足、過大なストレスなどによる免疫力の低下。
・カタル性口内炎…アフタ性に比べて、全体的に赤く腫れるのが特徴。おもな原因は入れ歯の不具合や噛み合わせの悪さなどによる物理的な刺激。
・ヘルペス性口内炎…強い痛みがあり、発疹や発熱を伴う。赤ちゃんや乳幼児に多い。ウイルスが原因。
・カンジダ性口内炎…白い苔のようなものが頬の内側などに広がる。痛みはほとんどない。免疫力低下などで、元々口内にいるカビ菌(カンジタ)が異常繁殖することが原因。
大多数の口内炎はアフタ性かカタル性で、治療としては塗り薬で炎症を抑えるのが基本となります。悪化して痛みがひどいようなら、患部に光線をあてて焼くことで殺菌・炎症の鎮静化を一度に行える「レーザー治療」や、光線の代わりに高周波の電流で同じ効果を得る「高周波治療」が行われます。同時に、栄養不足や噛み合わせの悪さなど、口内炎を引き起こす原因となったものを解消し、口内を清潔に保つケアを行うことも治療における大事なポイントとなります。
口内クリーニングは歯科ならではの特徴
ごく一般的な口内炎(軽いアフタ性口内炎)で、塗り薬を塗っておけば問題ないような場合は、受診する科による治療内容の違いは特にありません。ただ、レーザー治療や高周波治療を受けたい場合は、診療科にかかわらず設備の整ったクリニックを探す必要がありますので、受診前に一度電話などで確認してみるといいでしょう。
一方、口の中を噛んでしまったとか、矯正器具で粘膜を傷付けてしまったとか、外的刺激が原因と思われる口内炎(カルタ性口内炎)の場合は、歯科を受診して原因を取り除いてもらう必要があります。口内のクリーニングが受けられるのも歯科ならではの特徴で、傷口に細菌が入るのを防ぐことができれば、治りが早くなります。これに対し、口内炎だけでなく高熱が続くなどウイルス性の疑いがある場合は、皮膚科や耳鼻咽喉科などを受診して、抗ウイルス薬を処方してもらうのが良いでしょう。また、カンジダ性口内炎の場合は、ほかの病気が潜んでいる可能性もありますので、内科などの医師に診てもらうのがおすすめです。
口内炎は口内を清潔に保ち、傷口に細菌が入るのを防ぐことで完治までの期間を短縮することができます。
ウイルス性などの口内炎の場合は別ですが、総合的に考えれば矯正器具や詰め物など口内炎の原因となりうる外的刺激の調整にも対応してくれて、口内のクリーニングも受けられる歯科がおすすめといえるでしょう。
医科歯科ドットコム編集部まとめ
口内炎は歯科医院でも治療が可能だとは驚きでした。それに口の中を清潔にでき、完治までの時間の短縮もできるんですね。口内炎に悩む方は歯医者さんを今すぐ予約してはいかがでしょうか?
監修日:2019年10月16日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医