自分、もしくは相手の口臭が気になって距離をとってしまった……皆さんは、そんな経験をしたことはありませんか?自身の口臭に自信がないと、人との接し方に影響が出てきます。口臭がコンプレックスで、異性とのお付き合いができないというケースも、実は珍しいことではありません。口臭の問題は、その人の人間関係に深く関係しているのです。そこで今回は、口臭を爽やかに保つために必要なポイント「唾液」に着目して、口臭改善の方法をご紹介します。
口臭と唾液の深い関係
お口が嫌なニオイになる原因は、硫化水素やメチルメルカプタンなどから成る「揮発性硫黄化合物」という物質が口の中に溜まることにあります。舌の上に白っぽい汚れが溜まった経験はありませんか? あれは舌苔(ぜったい)と呼ばれるもので、この揮発性硫黄化合物が蓄積して形成されています。揮発性硫黄化合物を取り除くには、歯磨きや舌磨きをするという方法が最も効果的ですが、歯茎や舌の裏など、お口の中の至るところに潜んでいる揮発性硫黄化合物をすべて除去することは不可能です。そこで登場するのが、唾液です。唾液には高い殺菌・抗菌作用があり、お口の中を清潔な状態に保ってくれます。
しかし、生活習慣の乱れやドライマウスなどが原因で、唾液の分泌量が十分でない方は少なくありません。唾液が不足すると、ニオイの元である揮発性硫黄化合物がどんどん増え、お口から悪臭が発生しています。
つまり、お口のニオイで悩んでいる方は、唾液の分泌量を増やすことが必要なのです。
唾液を増やすテクニック
「唾液の分泌量を増やせと言われても、歯科医院や病院にかかるのは恥ずかしくて気が進まない……」という方は多いことでしょう。そんな皆さんもご安心ください。唾液を増やす方法には、自分一人でできるものがたくさんあります。また、特別な道具を用意する必要もありません。ほとんどの場合、毎日の生活習慣を少し見直したり、身の回りにある食材を使ったりすることで唾液の量は増やせます。では、具体的なテクニックを見ていきましょう。
1日30分間梅干しを口に含む
梅干しを1粒丸ごと口に含み、そのまま30分間お口の中で転がし続けるという方法です。唾液を増やすための簡単なトレーニングで、これだけでお口の中が多量の唾液でしっかりと潤います。
なお、梅干しを使う理由は、酸味が強いことだけではありません。梅干しには消臭効果が高いクエン酸が含まれており、口内環境の改善には最適なのです。
また、老化を防ぐ抗酸化作用があり美容効果も抜群で、女性には特におすすめです。
あいうべ体操を行う
あいうべ体操とは、その名前の通り「あ」「い」「う」と口を大きく動かし、最後に「ベー」と舌を突き出すという口元の運動です。これによって唾液を分泌する唾液腺が刺激され、お口が潤いやすくなります。
「あ」から「べ」までを1セットとし、1日に10セットを3回行うと効果的でしょう。ポイントは、一つひとつのお口の動きを大きくすることです。顔全体の運動にもなるので、フェイスラインの引き締めや、ほうれい線の予防にも効果的です。
マッサージで唾液腺を刺激する
あいうべ体操と同様に、耳の周りやフェイスラインをマッサージすることでも、唾液腺を刺激することができます。痛みを感じない程度に指で優しく押して、唾液が出やすい状態をつくりましょう。
1日の中にリラックスタイムをつくる
唾液の量は、副交感神経を刺激することでも増えることがわかっています。副交感神経を刺激するには、心身ともにリラックスすることが必要です。ぬるめのお風呂に長く浸かったり、好きな音楽を聴いたり、じっくり深呼吸をしたり。1日の中でリラックスできる時間を設けるようにしましょう。
まとめ
唾液を増やす方法を紹介してきましたが、どれも今日からできる比較的簡単なテクニックばかりです。少しの努力で口臭の悩み、ひいては人間関係が改善されるのであれば、試さない手はないはずです。ぜひ、できそうなものから生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
医科歯科ドットコム編集部コメント
さわやかな口内をお金をかけずに維持したいという気持ちに応えてくれるのが唾液ではないでしょうか?より深く知りたい方は医科歯科.comから歯医者さんに相談してみましょう!
監修日:2019年12月2日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医