ダイエットの基本は食欲のコントロール。頭ではそう分かっていても、ついついスイーツの誘惑に負けてしまったり、食べ過ぎてしまったりと、なかなか思い通りにはいかないものです。 そんな時、「ダイエットが成功しないのは私の意志が弱いからだ……」と自分を責めたり、「明日から絶対スイーツは食べない!」と決めてしまったりしますが、それは言ってしまえば根性論で甲子園優勝を目指すようなもの。ただがんばるだけではなかなか強豪高には勝てません。「なぜ食べ物の誘惑に負けてしまうのか?」のメカニズムを知り、対処することができればダイエットはぐっと楽になります!
なぜか食べ過ぎてしまう4つの理由
食べ過ぎてしまうのは、本当に意志が弱いからなのでしょうか? いえいえ、そうではありません。食べ過ぎてしまうのにだってちゃんと理由があります。
よく噛んでいない
私たちの体で食欲をコントロールしているのは「満腹中枢」という器官です。食べ物が胃で消化され、血液中の血糖値が上昇したのを感じ取るところから脳に「もう満腹。これ以上食べなくていいよ」というサインを出され、満腹を感じる。
というメカニズムですが、実際に血糖値が上昇し始めてからサインが出るまでには、20分のタイムラグがあります。
よく噛んで食べようとすると、当然あまり噛まずに飲み込む時よりも食事に時間がかかります。
結果、この20分の間に食べる量が減り、少ない食事量で満腹感を感じることができます。また歯根膜を動かすことで、「噛んでいる」=「食べている」と脳が判断するため、さらに満腹中枢が刺激されます。
栄養が足りていない
「野菜しか食べない」「炭水化物は完全に取らない」など、極端なダイエットをしている時に起こりがちなのがこれです。
量を食べても体が必要としている栄養素が取れていないため飢餓感が収まらず、いつまでもお腹がすき、ついつい何か食べてしまうわけです。
食べることが習慣化している
「出されたものは全部食べるのが礼儀」「テレビを見ながらお菓子を食べるのが毎日の定番」「いつもテーブルの上にお菓子が載っている」など、空腹感にかかわらず食べることが当然というルールを自分で作り上げてしまっている場合です。
無意識にいつもと同じ行動を取ることで、たくさん食べてしまいます。
食べることがストレス発散になっている
仕事や家庭のストレスを、食べることで発散してしまっている場合です。根本的な解決にはならないので、ついつい食べ過ぎてしまうことが多いです。
「よく噛まない」のではなく「噛めない」!?
3~5が生活習慣の問題であるのに対し、1と2はただよく噛んで食べればいいだけなので非常に簡単に思えます。「これなら今日からでもできる」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、これまであまり噛まずに食べて来た方がいきなり「1口30回噛むこと」(厚生労働省提唱)を実行しようとしても、十中八九失敗に終わります。なぜでしょうか?「あまり噛まない」という習慣が身についたのにも、やはり理由があるからです。
口内環境が悪い
歯の噛み合わせが悪く上下の歯があまり噛み合っていないと、そもそも上手く噛むことができません。また、虫歯があるなどで痛い歯を無意識に避けていると、ほかの歯に負担がかかり噛む回数も自然と少なくなりがちです。口内の環境を整えることはよく噛むための第一歩。一度歯医者さんに相談してみるのがおすすめです。
柔らかい食べ物ばかり食べている
いくら「一口30回」が理想だとしても、麺類やケーキ、プリンなど柔らかいものを噛み続けることはできません。柔らかいものばかり食べるのが習慣になっている状態では、よく噛んで食べるのは難しいです。 食物繊維の多い野菜やキノコ、海藻、玄米などを多めに取るようにするとよいでしょう。
噛む=噛み締めるだと勘違いしている
食べ物を強く噛む癖がある人は、噛む回数が少なくなる傾向にあります。歯を噛み締めた時、奥歯には自分の体重以上の力がかかり、歯にとっては大きな負担となります。軽い力で優しく噛むようにすれば、自然と噛む回数は増えてきます。
この3つのうちどれかに心当たりがあるなら、それが「よく噛んで食べること」が実践できない理由である可能性大。原因を取り除くことを考えてみましょう。
よく噛むことの更なるメリット
よく噛むことができれば、さらに次のようなメリットもあります!
唾液の分泌が促進される
唾液には高い殺菌効果があるので虫歯予防につながるほか、口臭やドライマウスの予防効果も期待できます。
ダイエットの助けになる
よく噛むことで、食欲を抑えて代謝を高める「ヒスタミン」というホルモンが活性化することが知られています。
消費カロリーが増える
食べ物を食べると体内では食べたものを消化するのにエネルギーが使われます。よく噛むことはこのエネルギーを増加させる効果があります。
小顔効果
よく噛むことが表情筋のトレーニングにつながり、フェイスラインが引き締まります。
ついつい食べ過ぎてしまう理由も分解して考えることで、解決するための具体的な行動に移れるようになります。ぜひ実践してみてください。
医科歯科ドットコム編集部コメント
噛むことってこんなにも大事なんですね。食べ過ぎも抑えられて小顔効果も、、、一石二鳥!なにか心配なことがあれば医科歯科.comからクリニックをご予約くださいね。
監修日:2019年11月24日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医