これは病気です!胃の不調「機能性ディスペプシア」【医師が解説】

あまり聞き覚えがないけれど、実は困っている人が多い病気に機能性ディスペプシアというものがあります。
 
具体的にどのような病気なのか、どう気を付ければいいのかを消化器系をはじめ、総合診療科としても幅広く診療されている わかさクリニック院長 間嶋 崇(まじま たかし)医師に教えていただきました。

 

胃炎や食道炎よりも多い「機能性ディスペプシア」

「機能性ディスペプシア」という病気がここ10年くらいで非常に増えています。
 
逆流性食道炎や胃炎が以前は多かったのですが、現在ではこの機能性ディスペプシアが非常に多いです。

 

栄養がちゃんと取れない!胃もたれの原因

簡単に言いますと、胃の運動が悪い状態が続く病気です。
 
ご飯を食べても、胃でちゃんと消化して次の器官に流すことができずに逆流をしてしまいます。上手く栄養が取れてない状態で、満腹感やお腹が張ったような感じを受けてしまいます。
 
十分に食べられていない状態です。
 
自覚症状としては、胃もたれをしている感じになります。以前は逆流性食道炎や胃炎が胃もたれの原因として多かったのですが、今は機能性ディスペプシアが原因の場合がとても増えています。
 

消去法で見つけていく病気

この病気は、胃潰瘍や胃炎ではないのか内視鏡検査などで確認しながら、患者さんから聞く具体的な症状などと合わせて判別をします。
 
胃潰瘍や胃炎と一緒に起こっていることもありますが、内視鏡での見た目上は何も起こっていないことも多い病気です。
 
若い方だと痩せていいや、などと思ってしまいがちですが、機能性ディスペプシアは病気です。

 

生活の改善と胃酸の抑制と胃腸を動かす薬で対処

原因はストレスと疲労だと言われています。
 
メンタルと消化器官は密接に関わっています。緊張すると心臓がドキドキと強く打ち血液を多く送るように、身体は心に反応します。
 
この症状を改善していくには、刺激物の摂取を控えていただき、生活の改善も必要です。
 
処方する薬としては胃酸を抑える薬と胃腸を動かす薬を、患者さんの状態を聞きながら出していきます。両方となる場合もどちらか片方の場合もあります。
 
内視鏡検査をしないと出せない薬などもありますので、市販薬で治そうとするのではなく、医師にちゃんとかかり、薬をもらうことをおすすめします。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

潰瘍や炎症がないと病気じゃないのかなと思ってしまいがちですが、栄養がちゃんと取れなくなってしまう病気だそうです。
 
強い痛みでなくてもずっと胃の不調が続いているなという方はぜひ受診をご検討ください。

 
取材日:2020年2月5日
 

プロフィール

間嶋 崇 医師 
わかさクリニック 理事長・院長
<経歴>
1986 北海道札幌南高校卒業
1992 防衛医科大学医学部医学科卒業
1992~2006 防衛医大病院自衛隊中央病院自衛隊富士病院等
1999~2002 防衛医大医学研究科消化器病学専攻
留学:米国 シカゴ大学
2006.1~  わかさクリニック
<所属学会>
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本癌治療学会
日本消化器病学会
日本胃癌学会
日本食道学会