【産業医が解説】感染症対策で活躍!職場での健康を守る「産業医」というお仕事

 
新型コロナウイルスの感染症の流行が話題になり、職場で、産業医から気を付けるべきこと、などのメールが来た方も多いのではないでしょうか。
 
そして、うちの会社って産業医がいたの?と思われた方も多いのではないでしょうか。
 
労働者が50人以上の会社から産業医を選ぶことが義務付けられ、また1000人以上の会社では産業医が常駐をしています。
 
日頃はどういったことをしているのか意外と知らない、産業医について、産業医事務所 合同会社ケンワークの津田健司(つだ けんじ)医師にお話を伺いました。

 

危険な現場の改善アドバイスをする専門の医師

産業医は、病院ではなく会社にいるお医者さんです。
 
従業員ひとりひとりの病気や健康状態についての相談に乗ったりする以外に、職場の安全や会社としての安全衛生体制についても助言する役割です。
 
昔から職場というのは危険なことが多いところでした。
 
鉱山では落盤事故や有毒ガスの噴出などで多数の死傷者が出ていましたし、江戸時代にはすでに、鉱山で働く職工たちを地元の医師が見ていたと伝わっています。
 
今では鉱山のような危険な職場は随分と減りましたが、まだまだ大型機械を扱う職場や特殊な管理を要する有機溶剤を使う職場もあります。
 
また熱中症予防やメンタルヘルスの問題、長時間労働、がん治療と仕事の両立支援など、幅広い現代型の問題も出てきています。
 
新型コロナウイルスに対する会社としての対応についても、医療専門職として助言を求められます。

 

メンタルヘルスへの対応が多く求められる傾向に


人の数だけ悩みがあるので、本当に多種多様な悩みをお聞きしますが、やはりメンタルヘルスの問題について相談を受けることが多いです。
 
全人口の15人に1人(7.5%)が生涯のうち1回はうつ病を経験すると言われていますし、1年以内にうつ病にかかる人の割合(12ヶ月有病率)は2.2%と言われています。50人の会社で1年に1人がうつ病を発症しても全く不思議では有りません。

 

PMS?発達障害?職場が原因のうつ病なことがある

うつ病の方は「私はうつ病かもしれない」と言って相談に来てくれるわけでは有りません。多くは、頭痛やだるさなど体調の不調の相談で来られますし、PMS(月経前症候群)がひどい、といって相談に来た方もいらっしゃいました。
 
しかし、頭痛や倦怠感、イライラ、不安、眠気、集中力の低下、食欲不振などの症状が月経の後にも続くということは普通ではありません。PMSで相談に来られたこの方もよくよく話を聞いていくと、色々なストレスや人間関係の問題が明らかになりました。
 
また、仕事で言われたことが覚えられずにミスばかりするので「自分は発達障害かもしれない」といって来た方もいました。しかしこの方もお話を聞くと、上司からのパワハラを受けてメンタルヘルス不調となっていて、記憶や作業能力が低下していることがわかりました。
 
このように、うつ病の難しさは、自分では自身がうつ病だとは中々気がつけないことにあります。病院に行くのはハードルが高かったり、そんなにひどくは無いけれど大丈夫かちょっと聞きたい、ことがある場合にぜひ産業医に聞いてもらえると嬉しいです。

 

医科歯科ドットコム編集コメント

クリニックに行くべきか悩むような不調など、身体への影響がはっきり出てないけど何かおかしい、という際は産業医の先生に相談をしてみる、ということは重要なことです。
 
ぜひそう言った際はご検討ください。
 
引き続き津田先生に、どのように産業医として職場と関わることがあるのか、また体調を崩した方をサポートしているのかを伺います。

 
取材日:2020年3月12日
 
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プロフィール

津田 健司(つだ けんじ)医師
 
<略歴>​
1984年生まれ/千葉県出身​
2003年開成高校卒業​
2010年北海道大学医学部卒業/同年より亀田メディカルセンター初期研修医​
2012年より同院血液腫瘍内科後期研修医​
2013年より帝京大学ちば総合医療センター血液・リウマチ内科後期研修医​
2014年より助手​
2015年より帝京大学大学院医学研究科第一臨床医学専攻博士課程​
2018年博士課程早期修了/博士(医学)​
2018年合同会社ケンワーク代表社員​
 
<資格>​
日本医師会認定産業医​
日本血液学会血液専門医​
日本内科学会総合内科専門医​
日本内科学会認定医​
抗加齢医学会抗加齢専門医
 

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