生涯、がんで死亡する確率は、男性は4人に1人、女性は7人に1人とされています。
(国立がん研究センター)がんによって亡くなる確率が高いのでそのリスクの高いがんを早期に発見できれば、がんによる死亡を予防できるのではないでしょうか。
今回は、死亡数が多い部位第2位の「大腸がんの検査」について「わかさクリニック」院長の消化器内科医 間嶋崇 医師にお話を伺います。
便潜血だけでは大腸がんの診断は困難。早期発見には内視鏡検査が必要
検診では便潜血という便に血が混じっているかどうかを確認する検査をおこないます。ポリープはボコッと出ているので、便が通るときにそこから出血しやすいです。ですので、たまたま腸から出血が起きている、痔の症状がある方などで出血している場合でも、大腸がんの検査で大腸がんの疑いがありと診断されてしまう可能性があります。
また、ポリープがあっても出血しない場合もあるので、検査に引っかからないということもあります。あくまで、便潜血は、大腸を直接見ているわけではないので必ずしもがんを発見できるというものではありません。
便潜血よりも大腸がんを発見しやすい検査として、内視鏡検査があります。検査前には、腸をきれいにするために下剤を飲んでからおこなうため患者さんからするとハードルが高いイメージがありますが、肛門を直接見る内視鏡検査の方がより大腸がんを発見しやすくなっています。
検診で「経過観察」と言われても過剰に心配しなくてよい
検診で2、3mmのほどのポリープが見つかった場合、取らずに経過観察とする場合があります。ここで、心配になってしまう方がいるかもしれませんが、少しでもがんの疑いがある場合は取るので、医師から経過観察といわれた場合にはそこまで心配する必要はありません。
ただ、今後大きくなると取らなくてはいけない可能性があるので、来年も大腸の検査をおこなうよう患者さんには説明しています。
ポリープと聞くとあまりいいイメージをお持ちの方はいないかもしれませんが、その全てを取った方がよいというわけではありません。取らなくてもよいポリープもたくさんあります。
大きさや形など細かく規定はありますが、一般的に5mm以上の大きいポリープは取った方がよいとされています。ポリープは大きくもなり、小さくもなります。ですので、次回の検診時にポリープが大きくなっている、もしくは小さくなっているということがあるので、その時に判断が必要になります。
つまり、経過観察と診断された場合、過剰に思い詰めてしまう必要はないので、医師の指導に基づいた食事や運動などをおこなうことが大切です。
取材日:2020年2月5日