胃がんの早期発見にはピロリ菌のチェックが大切!その検査や除菌法とは?

 
2017年の国立がん研究センターの調査によると、がんによる死亡数の多い部位の第3位は「胃がん」(男性2位、女性3位)です。
 
1990年代後半から死亡率こそ減ってはいるものの、いまだ罹患率の高い「胃がん」とは一般的な健康診断でわかるのでしょうか。
 
またピロリ菌との関係性について「わかさクリニック」院長の消化器内科医 間嶋崇 医師にお話を伺います。
 

 

「ピロリ菌に感染=胃がん」はまちがい!胃がんとの関係は?

 
よく勘違いされている方が多いのですが、ピロリ菌に感染しているからといって必ずしも胃がんが発症するというわけではありません。
 
ピロリ菌に感染していると、胃炎(萎縮性胃炎)を起こしやすいということがわかっています。その胃炎が原因となり、胃がんが発生する場合が日本人には非常に多く見られます。
「ピロリ菌に感染→萎縮性胃炎→胃がん」というプロセスです。

 

健康診断だけでは早期の胃がんは見つかりにくい

 
一般的な健康診断でおこなうバリウム検査では、なかなか早期の胃がんの発見は難しいと言われています。バリウム検査は、バリウムを胃に流し込むことで胃の中のポリープ(ボコッと膨らんでいる部分)がないか確認します。早期の胃がんの場合、わかりやすくポリープが見つけられない場合もあるため、バリウム検査だけではわからない可能性があります。
 
そのため、健康診断では、ピロリ菌を調べるための血液検査や呼気検査、便の検査などがあります。これらの検査は、直接ピロリ菌を調べることができるので、健康診断ではなかなかカバーしきれない部分も補えるかと思います。

 

ピロリ菌が見つかったらお薬を飲んで除菌

 
ピロリ菌が見つかり、治療が必要になった場合、飲み薬を飲んでピロリ菌を除菌をしていきます。抗生剤と胃薬を一週間ほど飲み続けることで、およそ8割のピロリ菌を除菌することができます。そして、再度検査をおこない、ピロリ菌が除菌できていれば成功です。また、1回で除菌できない方は2次除菌をおこない再度、お薬を飲んで除菌していきます。

 

もし胃がんになったら?そのときの治療法は?

 
早期であれば、内視鏡を使ってポリープを除去するので、お腹を切ることはありません。治療場所はクリニックではおこなえないため、設備の整った病院で入院しておこないます。
 
進行している場合、開腹手術(お腹を開いて手術をおこなう)または腹腔鏡手術をおこないます。腹腔鏡下手術はお腹に数ヵ所小さな穴をあけてカメラを使いお腹を見ながらおこなうため、開腹手術と比べ、傷が小さく、術後の痛みが少ないためより負担が少ない手術です。

医科歯科ドットコム編集部コメント

 
取材日:2020年2月5日
 

プロフィール

間嶋 崇 医師 
わかさクリニック 理事長・院長
<経歴>
1986 北海道札幌南高校卒業
1992 防衛医科大学医学部医学科卒業
1992~2006 防衛医大病院自衛隊中央病院自衛隊富士病院等
1999~2002 防衛医大医学研究科消化器病学専攻
留学:米国 シカゴ大学
2006.1~  わかさクリニック
<所属学会>
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本癌治療学会
日本消化器病学会
日本胃癌学会
日本食道学会