【医師に聞く!感染症対策】手洗いと乾燥のポイント説明!消毒液も使い分けて

新型コロナウイルス市中感染も各地で疑われるようになり、手洗いの徹底、混雑する場所へは行かないなど、感染に対しての自衛がより重要な段階となってきました。
 
基本の手洗いや、乾かし方。消毒液の種類について、津田健司(つだ けんじ)医師に教えていただきました。
 

 

手洗いは「パプリカ」をワンフレーズ歌いながら

新型コロナウイルスの感染予防には手洗いが大事で、大体20秒くらい手洗いするとよいと言われています。
 
昔から、ハッピーバースデーの歌を2回歌いながら洗うと良いと言われています。
 
お子さんがいるご家庭では「パプリカ」をワンフレーズ歌うと、ちょうど8小節くらいで20秒くらいになります。
 

 

手の乾かし方は洗うのと同じくらい大事!

濡れたままは微生物を繁殖させ台無しに

手をしっかりと洗うことと同じくらい、手をしっかりと乾かすことは重要です。
 
しかし多くの方が、濡れた手を服で拭いたり、温風乾燥機にさっと当てて終わっていると思います。
 
これでは折角手を洗ったのに台無しです。濡れている手は微生物の格好のすみかになるからです。
 
温風乾燥機で完全に乾燥するには、45秒程度必要だと言われています。
 
なかなか待てないことも多いとは思いますが、手は揉むよりも、こすらないでじっとしている方が、細菌は少なくなると言われていますので、急がば回れで、じっと動かさずに乾燥させるのがよいと思います。

 

感染対策上ペーパータオルがおすすめ

より風圧の強いジェット乾燥機は、温風乾燥機よりも早く手が乾き、除菌性能が最も高いと言われています。
 
しかし、風圧のために多量の細菌が空気中に飛び散ります
 
この飛び散った細菌が感染症を引き起こすことも懸念されていて、体の弱い人が多くいる医療機関などではジェット乾燥機はあまり好ましくないとされています。
 
ペーパータオルは、最も素早く手を乾かせますし、ジェット乾燥機と違って空気環境を汚染しませんが、広い目で見ると紙資源による環境負荷も問題視されています。
 
このようにそれぞれ一長一短に見えますが、個人的にはペーパータオルで使い捨てにするのが、感染対策上は最も好ましいと思います。

 

消毒液でもアルコールと次亜塩素酸ナトリウムは強みが違う

アルコールは最も一般的な消毒剤ですが、アルコールでは消毒しきれない微生物も存在します。
 
有名なのはノロウイルスで、構造的にエンベロープと言われる、「アルコール消毒のターゲット」になる膜がないので、アルコールが効きにくいと言われています。
 
他に、芽胞(がほう)という最強の防御壁を作る菌にもアルコ―ルは効きません。
 
これは例えば赤ちゃんがはちみつを食べられない理由であるボツリヌス菌や、抗生物質の乱用により出現するクロストリジウム・ディフィシルなどの菌です。
 
次亜塩素酸ナトリウムは、アルコールが効かないノロウイルスや、芽胞を作る微生物も消毒できます
 
しかし、強アルカリ性で手荒れの原因になるので、手指には使わず、リネン類や床、便器など環境の消毒に使います。
 
金属腐食性があるので、金属のドアノブなどには使った場合は消毒後にしっかりと拭き取りましょう。
 
新型コロナウイルスにも手指消毒にはアルコールを、物の表面の消毒には次亜塩素酸を使うのが良いと思います。

 

医科歯科ドットコム編集コメント

日常の中で気を付けられることはたくさんあります。話題となっているコロナウイルスの感染だけでなく、冬から春にかけてはインフルエンザ、ノロウイルス、溶連菌など身の回りには色んな病気はあります。
 
いつも常に警戒をし続けることはできませんので、ていねいな手洗いや気になった時は適切なものを使った消毒など、みんなで習慣づけられるといいですね。

 
寄稿日:2020年3月5日
 
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プロフィール

津田 健司(つだ けんじ)医師
 
<略歴>
1984年生まれ/千葉県出身
2003年開成高校卒業
2010年北海道大学医学部卒業/同年より亀田メディカルセンター初期研修医
2012年より同院血液腫瘍内科後期研修医
2013年より帝京大学ちば総合医療センター血液・リウマチ内科後期研修医
2014年より助手
2015年より帝京大学大学院医学研究科第一臨床医学専攻博士課程
2018年博士課程早期修了/博士(医学)
2018年合同会社ケンワーク代表社員
 
<資格>
日本医師会認定産業医
日本血液学会血液専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会認定医
抗加齢医学会抗加齢専門医
 

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