【子どもの専門家CLSからアドバイス】新型コロナ報道の親から子どもへの伝え方

 
新型コロナウイルスやインフルエンザについての報道がどのメディアでも連日取り上げられています。
 
大人でもその情報量の多さやメディアの煽りなどから、どの情報が正しいのかよく分からず不安に思うこともあるでしょう。それは子どもにとっても同じことです。
 
その子どもに対して、「世間で話題の報道をどのように伝えればよいか」を医療環境にある子どもと家族の不安や恐怖心を発達段階や個性に応じて軽減し、心理社会的支援をおこなうチャイルド・ライフ・スペシャリスト協会(Japanese Association of Certified Child Life Specialist:CLS)の会長を務める井上 絵未氏に伺いました。
 

 

新型コロナの報道など、子どもへの説明の仕方は?

ある程度お子さんが大きくなると、マスコミで繰り返し報道されている様子を見続けることで、不安感が増す場合もあります。
 
自宅でワイドショーなどをつけっぱなしにしないなど、必要な情報が正しく子どもに伝わるような環境作りをして、子どもが触れるメディアの種類や内容に配慮することはご家庭で検討できる対応かと思います。
 
世の中の情勢に関わらず家庭内ではいつも通りの日々があり、安心できる居場所であり続けることは周囲の大人ができる配慮だと思います。
 
また、今起きている状況、出来事に関して、子どもたちがその後の人生の糧として得られることは何かを考えて説明することが大切です。

 

歌いながらの手洗いやせっけん作り!親子で健康に注目を

 
新型コロナウイルスやインフルエンザなどが話題になっている今は、親子で健康や感染対策について考えてみる機会だとも考えられます。
 
お子さんと一緒に手洗いやうがいがしっかりできているかなど基本的なことから確認してみるのはいかがでしょうか。
 
最近では、手洗いの歌なども色々な種類があるので、手洗いについて親子で楽しみながら正しい知識を確認することもできます。
 
また、手作りの石鹸を作るキットなどが売られているので、石鹸を作るところからはじめて、その石鹸で手を洗ってみたり、マスクが苦手な子には、お子さん自身にマスクに絵を描いてもらうなどお子さんが楽しめる要素を採り入れることもおすすめです。
 
そうすることでお子さんの中に楽しい記憶とともに残り、将来的な興味や理解のきっかけとなる場合があります
 
ご家族自身が不安や恐怖心を持たれるかもしれませんが、ご家族が怯えてしまうと子どもも同じ反応を示すこともあります。
 
親の不安は子どもにも伝染すると言いますので、親御さんが、落ち着いた行動をとることも大切です。

 
取材日:2020年2月19日
 

プロフィール

井上 絵未(いのうえ えみ)氏
 
済生会横浜市東部病院こどもセンター チャイルド・ライフ・スペシャリスト
 
米国Association for Child Life Professionals(チャイルド・ライフ協会)認定チャイルド・ライフ・スペシャリスト
 
社会福祉士
 
〈経歴〉
2002年 立教大学コミュニティ福祉学部卒業
2003年 社会福祉士取得
2007年 米国カリフォルニア州University of La Verne(ラバーン大学)大学院教育学部チャイルド・ライフ専攻修士課程修了(Master of Science in Child Life)後、チャイルド・ライフ・スペシャリスト認定を受ける。
 
大学院在学中、米国カリフォルニア州CHOC Children’s(チョック・チルドレンズ:チョックこども病院)にて720時間(およそ半年)のチャイルド・ライフの臨床実習を経験。在学中、病院や病児キャンプでのボランティア活動に参加。
 
2007年7月より現職。済生会横浜市東部病院は、全国でも珍しい小児肝臓消化器科を有しており肝臓消化器慢性疾患の子どもたちへの心理社会的サポートを中心に活動を行っている。また、がん診療連携拠点病院・救急病院であり多部署・多職種との連携により子育て世代のがん患者、救命救急患者の子どものサポートに力を入れている。
 
また、慢性疾患、小児がん等の患児と家族(きょうだいを含む)が、病気を気にすることなく、安心して子どもらしく遊ぶことを目指しサマーキャンプやクリスマス会を行っているボランティア団体Family Agency(ファミリー・エージェンシー)のボランティアに学生時代から参加し、現在は理事をつとめている。
 
2019年 チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会会長に就任。