【専門医が解説】自分は花粉症なの?採血でわかるアレルギーの原因

 
春になると鼻がいつもグズグズ…もしかすると自分は花粉症なのだろうか?と思っている方もいるでしょう。
 
血液を調べることで本当に花粉症なのか、何の花粉に反応しているのか?ということが分かるそうです。
 
今回は「アレルギー症状を調べる血液検査」について、「とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科」院長 國井直樹(くにいなおき)医師に伺います。
 

 

何のアレルギーなのか?原因を特定する血液検査とは

スギ花粉によるアレルギーなのか、ダニによるアレルギーなのか、といったようなことは血液検査で血液中の「特異的IgE抗体」の量を調べると分かります
 
アレルゲンに感作されると体内でIgE抗体が産生されるようになります。IgE抗体は特定のアレルゲンにのみにしか反応しません。たとえば、スギ花粉にはスギ特異的IgE抗体だけが結合します。ですので、スギ特異的IgE抗体があるかどうかを調べれば、スギ花粉症かどうかが分かります。
 
特異的IgE抗体の量を「抗体価」と呼んでいて、その数値によってクラス0からクラス6までの7段階で区切っており、クラス2以上を陽性と判定します。
 

 

抗体価の高い項目がアレルギーの原因物質なのでしょうか?

特異的抗体価が高いということは、そのアレルゲンに対してアレルギーの症状が出やすいと言えます。
 
しかし、特異的抗体価が高いからといって、必ずしも今出ている症状の原因とは言い切れません。たとえば、スギ特異的抗体価が高くても、スギ花粉が飛んでいない時期の症状はスギ花粉が原因ではないですよね。いつ、どの様な症状が出るのか、問診で確認することが重要だと考えています。
 
また、スギ特異的抗体価が陽性でも、スギ花粉に対する鼻誘発テストで反応せず、スギ花粉飛散期に症状が出ない方もいらっしゃいます。この様な、スギ花粉に感作はされているけど未だ発症してない方は、近い将来スギ花粉症を発症する可能性が高い、予備軍と考えられます。
 
「特異的抗体価が陽性=アレルギー症状の原因物質」とは言い切れませんが、詳細な問診と合わせることにより,診断をつけていきます。

 

子どもにも血液検査でアレルギーを調べることはありますか?

採血ができれば血液検査でチェックを受けることは可能です。ですが、たとえば新生児などにアレルギー性鼻炎の検査をする意味があるかどうかは疑問です。
 
アレルギー性鼻炎は鼻から入ってくるアレルゲンに繰り返しさらされることによって成立する病気ですので、あまり小さいお子さんにアレルギー検査をする意味はないと思います。特にスギ花粉は年に1回、限られた時期にしか飛散しないため、1年を通して家の中にあるダニやハウスダストに比べ、発症するまで時間がかかります。そのため、スギ花粉症の検査はある程度年齢が上がってから行えばよいと思います。

 

小学校の低学年でもアレルギー症状がでる可能性も!?

では、いつ頃からスギ花粉症の検査をしたら良いかといいますと、以前、私も参加して解析をさせて頂いた疫学調査では、小学1年生の約4割でスギ花粉に対する特異的抗体価が陽性となり、小学生全体では5割を超えていました。
 
この調査から、概ね小学校に入学する前後の年齢のお子様からスギ花粉症についてのアレルギー検査が有用だと考えています。
 
近年では、アレルギー性鼻炎発症の低年齢化が問題になっています。お子様の鼻水や鼻づまりの症状が長引いている場合は、アレルギー検査を検討してみてもいいのかもしれません。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

血液検査では疑わしいアレルギー症状の原因物質に対して、特異的な抗体があるのかを調べることができるそうです。

また、健康診断の際のオプションとしてアレルギーの血液検査ができる病院もありますので、気になる方は検査を希望されてはいかがでしょうか。

 
取材日:2020年2月13日
 
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プロフィール

とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科
院長 國井直樹(くにいなおき)
 
<経歴>
2003年3月  山梨医科大学 卒業
2008年3月  千葉大学大学院博士課程 卒業
2008年4月~ 千葉大学耳鼻咽喉科 助教
2009年4月~ 船橋市立医療センター耳鼻咽喉科 医長
2010年4月~ 米国ペンシルバニア大学に留学
2012年4月~ 帰国後は千葉大学にて耳鼻いんこう科診療や免疫学の研究、学生教育に従事
2019年5月~ とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科開院
 
<資格>
医学博士
耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医
耳鼻咽喉科専門研修指導医
アレルギー学会認定 アレルギー専門医
がん治療認定医
耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医