【救急医に聞く】長期休暇の前でお薬を多めに処方してもらえますか?

 
連休で明日もお休みだからと、ついつい飲みすぎたり食べすぎたりしていませんか?
 
お酒の飲みすぎによる急性アルコール中毒や、食べすぎによる激しい腹痛・胃けいれんなどが起き、どうにも我慢できない状況に陥る可能性もあります。
 
救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、飲みすぎや食べすぎによる救急搬送や長期休暇の前にお薬を多く処方してもらうことが可能どうかについてお話しを伺いました。
 
これまでかかった病気や治療中の病気がある場合は、暴飲暴食は控えた方が良さそうです。

 

これまでかかった病気や症状を診て、医師は診断をおこないます

 
――飲みすぎ・食べすぎが原因としてあるかと思いますが、それで救急要請して怒られませんか?
 
あくまでも、救急搬送される要因となった症状、病状により判断しますので、基本は怒りません。
 
ただ、もともと治療中の疾患や基礎疾患があり、主治医から注意されていたにも関わらず、そのアドバイスを無視するなどして状態を悪化させてしまった場合などでは、厳しく注意することはあります。
 
既往症や基礎疾患がある方は軽く考えすぎないで、症状が出たら我慢しすぎて重篤な状態になる前に受診するようにしてください。

 
――激しい腹痛を伴う胃けいれんが起きた場合は、飲みすぎ・食べすぎが原因ですか?
 
胃潰瘍(いかいよう)、胆石(たんせき)、膵炎(すいえん)などにかかったことがある方では、胃けいれんを起こす方もいらっしゃいます。既往歴を見て症状を緩和するアドバイスをおこなうことはあります。
 
しかし、他の原因が隠れていて症状が出ていることもありますので、原因精査目的で検査をおこなうこともあります。
 
消化管系の既往症をお持ちの方は、食事に関しても度が過ぎることはしないようにしましょう。

 

普段服用する薬や治療中の病名を伝えることは、適切な診断のために大切です

――長期休暇の前に、お薬を多めに処方してもらえますか?
 
医療機関だけでなく、かかりつけ薬局も年末年始やGW、今年はオリンピックの期間など長期休暇の場合は閉まることが多いことが予想されます。その場合は、通常よりも多めにお薬が欲しいという要望をいただくことが多いかと思います。
 
また、初めて受診する病院に行く場合、普段から服用しているお薬や治療中の病名を医師に伝えていただくことは、より適切な診断と治療を受けるために大切なことです。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント:これまで病気をしたことがある方は、暴飲暴食に注意しましょう

飲みすぎ・食べすぎによる救急搬送について、小川智也医師に教えていただきました。
 
食事は本来とても楽しいものです。しかし、周りの雰囲気に流されて飲みすぎてしまったり、ストレスでついつい食べすぎてしまうこともあるかと思います。
 
特にこれまで病気をしたことがある方、治療中の方は暴飲暴食しないように気を付けましょう。

 
取材日:2019年12月13日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。