【耳鼻科医が解説】まさか同じ診療科?めまい・口腔がん・睡眠時無呼吸の時にどこに行く?

 
3月も半ばに入り花粉シーズン本番となりましたが、耳鼻科を受診する方も多いと思います。ところで皆さんは、耳鼻科ではどんな症状を診てもらえると思いますか?
 
何科に行けばいいのだろう?と迷う症状がじつは耳鼻咽喉科の担当領域だったりすることもあります。
今回は「耳鼻科の先生に相談できること」を「とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科」院長 國井直樹(くにいなおき)医師に伺います。

 

「あたまの下から鎖骨までが耳鼻咽喉科の領域です」

耳鼻咽喉科とは文字通り、耳・鼻・口・のどを診る科目になります。あと一般的には馴染みが薄いかもしれませんが、頸部といって首のあたりを診るのも耳鼻咽喉科です。
 
あたまのなかに関しては脳外科、脳神経内科で診ますが、あたまの下辺りから鎖骨辺りまでの範囲で、眼を除いた部分を診るのが耳鼻咽喉科だと思っていただければ分かりやすいかと思います。

 

耳鼻咽喉科に相談できる症状はとても幅広い!

よく皆さんがイメージされる耳鼻咽喉科の病気としては、中耳炎や副鼻腔炎、扁桃炎といったお子さんに多い感染症があげられると思います
 
鼻と口という部分は空気や食べ物が入ってくる身体の入り口になりますので、多くの細菌やウイルスなどの病原体もまず鼻や口から入ってきます。ですから、鼻、口、のどは、非常に感染症を起こしやすい場所といえます。
 
鼻水や咳、痰といった、いわゆる風邪症状の原因のほとんどは耳鼻咽喉科の範囲内にあり、耳鼻咽喉科はこの様な感染症を得意としています
 
また、難聴やめまいといった神経の障害、嚥下機能の障害や睡眠時無呼吸症候群による睡眠障害も耳鼻咽喉科医は診察します。
 
さらに、芸能人がかかってニュースにもなった頭頸部がんですが、これは鼻や副鼻腔、口腔、咽頭、喉頭、唾液腺にできるがんを頭頚部がんと呼び、耳鼻咽喉科が担当しています。
 
その他には、甲状腺がんは一般外科でも手術を行っていますが、頸部ですので耳鼻咽喉科医が最も得意としている手術のひとつです。悪性腫瘍の治療も耳鼻咽喉科医が行っているのをご存知でしたか?
 
このように耳鼻咽喉科の診療内容は非常に多岐にわたっています。
 
もちろん全ての耳鼻咽喉科専門医はその領域すべてに対応できるようにトレーニングを受けていますが、そのなかでも各自得意とする分野がありますので、それぞれの先生のご専門を確認して受診する病院を選ばれると良いと思います。

 

五感のうち四つを耳鼻咽喉科では診ています

耳鼻咽喉科は、人間の五感のうち、視覚以外の四つに関与しており、患者様の生活の質(QOL;Quality of Life)が低下しないように、人が人らしく生きるのに必要な機能を守っているという自負があります。
 
また、患者様の年齢を考えますと、、中学生までは小児科に行き、高校生からは内科に行くというイメージがあるかと思いますが、耳鼻咽喉科に関しては、新生児からご高齢の方まで幅広いご年齢の方を診察しています。
 
地域のクリニックで耳鼻科をやっていますと、小さいお子さんが段々と大きくなり、やがて親となって子供を連れてくる、というようなこともあり、それも耳鼻咽喉科医の大きな魅力だと思っています。

 

編集部コメント

「耳鼻咽喉科では風邪症状のほとんどが範囲となり、感染症を得意にしています」と國井医師。また、人間の五感のうち視覚以外の四つに関与しているとのことですが、耳鼻咽喉科とはじつは幅広い症状を診てもらえる科目だったのですね。
 
年齢に関係なく診てもらえるとのことなので、お子さんは小児科だけでなく耳鼻科も選択肢とすることができますね。

 
取材日:2020年2月13日
 
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プロフィール

とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科
院長 國井直樹(くにいなおき)
 
<経歴>
2003年3月  山梨医科大学 卒業
2008年3月  千葉大学大学院博士課程 卒業
2008年4月~ 千葉大学耳鼻咽喉科 助教
2009年4月~ 船橋市立医療センター耳鼻咽喉科 医長
2010年4月~ 米国ペンシルバニア大学に留学
2012年4月~ 帰国後は千葉大学にて耳鼻いんこう科診療や免疫学の研究、学生教育に従事
2019年5月~ とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科開院
 
<資格>
医学博士
耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医
耳鼻咽喉科専門研修指導医
アレルギー学会認定 アレルギー専門医
がん治療認定医
耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医