【医師が解説】7日間は感染力が強い!インフルエンザの人を休ませたほうがいい理由

 
3月もまだインフルエンザの流行期ということをご存知でしょうか?
 
発症した場合、熱が下がってからも感染を広げるリスクがあります。
 
今回は、インフルエンザにかかった人が感染を広げる期間や経路についてケンワーク代表の津田 健司(つだ けんじ)医師に教えていただきました。
 

 

最長で4日間は潜伏し、感染力のある期間は最大10日間

インフルエンザの潜伏期間は1日から4日と言われていて、だいたい平均で2日ほどと言われています。
 
症状がでる2日くらい前から少しずつ病原体を身体から出す”排菌”をしていると言われていますので、潜伏期間中から人にうつす能力はあります
 
ただ、発症する前のウイルスの出し方は強くないので、潜伏期間中に沢山の人にうつすということはあまりないだろうと思います。
 
発症が始まってからの感染力が非常に強く、排菌の期間も発症が始まってから7日から最大10日というデータがありますので、その間に色んな人にうつす、というのが感染の経路かと思います。

 

インフルエンザの感染は5ミクロンの飛沫が起こす

 

飛沫が届くのは2メートル範囲


 
インフルエンザは飛沫感染と言われており、唾やくしゃみやせきなどの飛沫にのってうつります。唾などは一般的に2メートルほど飛ぶと言われているので、それくらいの距離で感染の可能性があります。
 
ただ、メインの感染経路ではありませんが、コロナウイルスでも言われているように、エアロゾルと言われる感染もあります。
 
普通の飛沫感染は、粒子のサイズとして5ミクロン以上です。目に見えなくでも飛沫感染と言われます。
 
水分が蒸発してもっとふわふわとなった5ミクロンより小さいものだともっと長い距離を移動すると言われていてこれがエアロゾルと言われます。
 
粒子のサイズがさらに小さくなると空気感染といわれます。空気感染するウイルスは少なく、たとえば結核などが該当します。
 
インフルエンザの感染経路は、空気感染まではいきませんし、メインの感染経路は2m以内での飛沫感染ですが、一部はエアロゾルとなりもう少し長い距離でうつる、と言えます。

 

発症しても半日から1日経過しないと判定できない

 
近くにインフルエンザの人がいて、ちょっと体調がよくないかな、と思ったら感染の可能性を考えてもいいかと思います。職場の近くの人や家族がインフルエンザになって、自分も寒気がしだしたら可能性は高いと思います。
 
症状だけですと鑑別はなかなか難しく、インフルエンザの検査も熱が出てからでないとなかなか調べられません。だいたい発症してから半日から1日しないと検査でしっかり陽性になりません。ある程度ウイルスが増殖してくれないとわからないのです。
 
早期診断、早期治療というのがもちろん大事ですが、インフルエンザでは実際なかなか診断できないということがあります。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

インフルエンザで休むように言われる理由は患者の回復の為だけでなく、感染力が強いためです。混みあう公共交通機関や机を並べるオフィスで2メートル以上の距離を取るのは現実的ではありません。
 
仕事が忙しくても無理に出社せず、しっかり休みを取るということが自分自身と周囲の人への配慮となるでしょう。

 
取材日:2020年2月12日
 
医科歯科.comではクリニックの検索&予約ができます
 

プロフィール

津田 健司(つだ けんじ)医師
 
<略歴>​
1984年生まれ/千葉県出身​
2003年開成高校卒業​
2010年北海道大学医学部卒業/同年より亀田メディカルセンター初期研修医​
2012年より同院血液腫瘍内科後期研修医​
2013年より帝京大学ちば総合医療センター血液・リウマチ内科後期研修医​
2014年より助手​
2015年より帝京大学大学院医学研究科第一臨床医学専攻博士課程​
2018年博士課程早期修了/博士(医学)
2018年合同会社ケンワーク代表社員​
 
<資格>​
日本医師会認定産業医​
日本血液学会血液専門医​
日本内科学会総合内科専門医​
日本内科学会認定医​
抗加齢医学会抗加齢専門医
 

<YouTubeにて医学専門知識をわかりやすく解説中♪>
仕事と心の保健室