【救急医が教える】過呼吸になり呼吸が安定しない場合は、どう対処したらいいですか?

 
突然、息をするのが苦しくなり過呼吸になってしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか?
 
救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、過呼吸になってしまったときの対処法についてお話しを伺いました。
 
また、近年増えているエナジードリンクによるカフェインの過剰摂取、依存性についてもお話しされています。
 
長期的なエナジードリンクの飲みすぎで、動悸・心臓発作・呼吸困難といった症状が起こる可能性もあります。このような健康被害には注意が必要です。

 

過呼吸になり呼吸が安定しない場合は、ゆっくり吐くことを意識しましょう

――過呼吸になってしまったときの対処法を教えてください
 
過呼吸で呼吸が安定しなくなってしまった場合、過去にはペーパーバック法という紙袋を口にあてる方法が推奨されていました。しかし、この方法はむしろ危険性を伴う場合があるためおすすめできません。
 
まずは本人を落ち着かせ、ゆっくり呼吸させるようにすることが大切です。このとき、吸うことよりも吐くことに意識を向けさせると良いでしょう。呼吸が苦しいのに、急に紙袋やビニールを口にあてるとビックリして、さらにパニックになる可能性がありますので注意が必要です。
 
――酸欠状態の見極めは、どのようにしたら良いですか?
 
一番分かりやすいのは唇の色を見ることです。息苦しく酸素が足らない場合は唇が青く変色します。逆に唇が血色の良い色をしている場合は、深刻な酸素不足はないと判断してよい場合がほとんどです。
 
ただ、唇の血色が良くても頭痛や気分不良があり、呼吸が弱い場合は「一酸化炭素中毒」を疑う場合もあります。

 

カフェインの過剰摂取と依存性の高さが問題!エナジードリンクの飲みすぎに注意

――エナジードリンクをよく飲む人がいますが、健康被害はありますか?
 
近年、エナジードリンクの過剰接種による健康被害が増えています。特に若い世代や働き盛りの年代でその傾向が強く、カフェイン過剰摂取に伴う健康被害と、依存性の高さが問題視されています。
 
医薬部外品と違い、エナジードリンクはコンビニなどで清涼飲料水として販売されているため、若年層が気軽に飲んでしまう傾向があるようですが、摂取量には注意しましょう。

 

編集部コメント:過呼吸になっても慌てないこと、異常を感じたら周囲に助けを求めましょう

過呼吸になってしまったときの対処法と、エナジードリンクの飲みすぎによる健康被害について、小川智也医師に教えていただきました。過呼吸で呼吸が安定しない場合は、ゆっくりと吐くことに意識して、慌てず落ち着かせることが大切です。異常を感じたら周囲に助けを求めるようにしましょう。
 
また、集中したいときや眠気を飛ばして頑張りたいときに、エナジードリンクを飲まれることが多いと思います。長期的な多量の摂取で、カフェインの過剰摂取と依存、さらには動悸・心臓発作・呼吸困難といった症状がまれに出てしまうこともあります。くれぐれも飲みすぎには気を付けましょう。

 
取材日:2019年12月13日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。