【医師に聞く】冬に起こる「寒冷蕁麻疹」。致命的な病気が隠れている可能性もあります!

 
冬に起こる蕁麻疹(じんましん)。ひょっとして寒さと冷えが原因かもしれません。
寒冷刺激によって発症する「寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)」をご存知ですか?
 
皮膚科医師であるはなふさ皮膚科クリニック 理事長 花房火月(はなふさひづき)先生に、寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)について詳しく教えていただきました。

 

寒冷蕁麻疹について

寒冷蕁麻疹は、文字どおり寒冷刺激(4度以下の刺激)が多いのですが。そういう刺激をうけた部位に蕁麻疹が発症する病気のことです。
 
たとえば冷たいものを触ったらその手が痒くなる、冷たいフローリングを素足で歩くと足の裏が痒くなる、冷たいものを飲んだら唇にじんましんが起こって痒くなる、またひどい場合ですと、喉の奥にじんましんが起こって物を飲み込みにくくなるとか息をしづらくなることがあります。
それが「寒冷蕁麻疹」です。
 
冬であれば、たとえばすごく寒くて風の強い日に短いスカートをはいて外に出て、足元に蕁麻疹が発症するようなことがあります。

 

寒冷蕁麻疹の対症療法、治療法について

治療法は通常の蕁麻疹と同じで、抗アレルギー薬を内服することで蕁麻疹が起こらなくすることがひとつの治療法ですが、寒冷蕁麻疹のかたは寒冷刺激によって起こるという原因が明らかなので、寒冷刺激をとにかく避けるということが大事です。
 
たとえば、極端な話なのですが、寒冷蕁麻疹のある方がプールに飛び込んだり海に飛び込むと、全身に蕁麻疹が起こってしまって、アナフィラキシーショックになり、血圧が下がってそのまま気絶して溺死ということも考えられるわけです。
 
また、冷たい飲み物を一気に飲むと喉に蕁麻疹が起こって息をしづらくなる、消化器に蕁麻疹が起こって下痢をしてしまう、というような重篤な症状も起こりうるのですごく注意が必要です。
 
そして寒冷蕁麻疹に関して注意しないといけないのは、中高年の寒冷蕁麻疹の方はベースに悪性リンパ腫や膠原病、梅毒といった致命的な病気が隠れている可能性が高いので、必ず病院で調べて精密検査をすることが必要になります。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

冷たい刺激で発症することがあるという寒冷じんましん。
高校生など、寒い日に制服のスカートをはいていたら突然じんましんが出た場合など、気付いていなかっただけで実は寒冷蕁麻疹だった、というかたもいるかもしれませんね。
思い当たるかたは冬の寒冷刺激に気をつけて、頻繁に起こる場合は病院を受診してみてはいかがでしょうか。

 

 

 
取材日:2019年10月4日
 

プロフィール

はなふさ皮膚科クリニック 理事長
花房 火月 医師
 
2006年4月~2007年3月 癌研究会有明病院(初期研修医)
2007年4月~2008年3月 東京大学医学部附属病院(初期研修医)
2008年4月~2008年6月 東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科(専門研修医)
2008年7月~2008年11月 東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科(助教)
2008年12月~2010年6月 NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
2010年7月~2011年6月 東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
2011年3月 東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科後期研修終了
2011年7月~ 三鷹はなふさ皮膚科開設
2014年6月~ 新座はなふさ皮膚科開設
2015年6月~ The Japan Times紙によりアジアの次世代を担うリーダー100人に選出
2015年7月~ 国分寺駅前はなふさ皮膚科開設
2016年5月~ 久我山はなふさ皮膚科開設
2017年8月~ 志木はなふさ皮膚科開設
2019年4月~ The New York Times紙によりNext-Era Leaders2019に選出
2020年2月~ 大宮はなふさ皮膚科開設
 
<その他>
著書『ぜんぶ毛包のせい。 薄毛・AGA ニキビ ヒゲ・体毛 ニオイ 汗