インフルエンザは毎年11月下旬頃から流行りはじめ、翌年の3月頃まで続くと言われている感染症です。
インフルエンザを予防するために、予防接種を受ける重要性が言われていますが、いつ受けるのが正解なのか?
また卵アレルギーの人は受けても大丈夫なのか?をケンワーク代表 津田 健司(つだ けんじ)医師にお話を伺いました。
本来は11月中までに受けるべき!流行する前の予防接種が大切!
――予防接種を受けるタイミングについて教えてください
インフルエンザのワクチンを接種してから2週間ほどで抗体ができ、免疫の持続期間は5ヶ月ほどです。12月くらいからインフルエンザにかかる人が多くなるので、11月中までに予防接種を受けることをおすすめします。
そのため病院やクリニックでは毎年10月頃から予防接種ができるように準備をはじめています。
――10月より前に予防接種を受けることは可能でしょうか?
一般的な病院やクリニックでは多分受けられないと思います。一部トラベルクリニックで、南半球用の輸入ワクチンがあるかもしれませんが、内容は北半球で使用されるものとは違います。
基本的に日本で売られているワクチンは、国内製造で、国内向けに作られています。インフルエンザワクチン株を決めて、冬の流行期に向けて同じようなスケジュールで一斉にワクチンを作っているので、ワクチンの製造が間に合っておらず、受けることができないと考えられます。
Q:乳幼児や妊婦さん、高齢者への予防接種は?卵アレルギーの人は受けても平気?
米国疾病管理予防センター(CDC)では、6ヶ月以上の小児からインフルエンザの予防接種を受けることを推奨しています。
特に免疫が落ちやすい妊婦さんや65歳以上の高齢者はインフルエンザが重症化しやすいため、受けることをおすすめします。
ワクチンを増やすときに卵で培養します。その際、ごく少量の卵由来のものを含んでしまいますが、臨床研究がされてきて、卵アレルギーの方も受けていいという風にはなってきています。
昔は卵アレルギーの人がワクチンを打つときに、病院内で様子を見るということがありましたが、最近では不要だと、CDCや米国アレルギー・喘息・免疫学会(ACAAI)で言われているので、基本的には心配しなくて大丈夫だと思います。
ただし、強いアレルギーのある方は万が一のため、(職場での出張接種ではなく)医療機関で接種してください。なお、インフルエンザワクチンで重篤なアレルギーが出た方は、接種してはいけません。
Q:予防接種の副反応はある?またそのリスクとは?
予防接種を受けたときに免疫がつく以外の反応が見られる場合があります。これを副反応と言います。インフルエンザのワクチンの副反応は非常に少なく、注射部位の腕の痛みがある程度と言われています。
その他は、過去の特定のシーズンのワクチンでは、手足の筋力が低下するギランバレー症候群という自己免疫疾患のリスクが、わずかに高かったかもしれない、と言う報告があります。
ですが、ギランバレー症候群のリスクは、最大100万人に1~2人程度で、多くは自然治癒するということもあり、インフルエンザの死者数などと比べると、予防接種を受ける方が得策だと思います。
医科歯科ドットコム編集部コメント
インフルエンザの予防接種を受ける時期や卵アレルギーの方について、津田 健司(つだ けんじ)医師に教えていただきました。
予防接種を受けて抗体ができるまでに2週間ほどかかるということなので、なるべくはやめに受けて、インフルエンザが流行する前に予防することが大切です。
もちろん、こまめな手洗いやうがい、ウイルスをもらわないためにもマスクをつけるなども忘れずにおこない感染を予防しましょう。
取材日:2020年2月12日
プロフィール
<略歴>
1984年生まれ/千葉県出身
2003年開成高校卒業
2010年北海道大学医学部卒業/同年より亀田メディカルセンター初期研修医
2012年より同院血液腫瘍内科後期研修医
2013年より帝京大学ちば総合医療センター血液・リウマチ内科後期研修医
2014年より助手
2015年より帝京大学大学院医学研究科第一臨床医学専攻博士課程
2018年博士課程早期修了/博士(医学)
2018年合同会社ケンワーク代表社員
<資格>
日本医師会認定産業医
日本血液学会血液専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会認定医
抗加齢医学会抗加齢専門医
<YouTubeにて医学専門知識をわかりやすく解説中♪>
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