新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が取り上げられますが、実はインフルエンザは国内で3325人(2018年)もの死者数を出したこともある、より身近な恐怖です。今回はインフルエンザについて津田 健司(つだ けんじ)医師に教えていただきました。
インフルエンザは医師でも風邪と見分けづらい!
関節痛など全身に症状が出るかがポイント
インフルエンザと風邪の違いは意外と難しいです。
厚生労働省のページにもインフルエンザと普通の風邪との違いがQ&A方式で書かれていますが、普通の風邪というのは鼻から喉の痛みである上気道症状にとどまりますが、インフルエンザは全身の症状が出ます。
たとえば高い熱が出たり、関節痛がでたり、筋肉痛がでたり、全身症状が出るという点が違うと言われています。
しかし実際に診療していると、普通の風邪なのか、インフルエンザなのか見ているだけではなかなか難しいです。
その為ウイルス検査をしてみないとわからないというのが本当のところです。
症状がひどくなってきたら受診の検討を
基本的には高熱が出てくるかがポイントです。
インフルエンザ自体は、インフルエンザ薬を使わなくても体力のある健康な人であれば治る病気ではあります。
予防接種を打っていてほとんど熱が出ないで終わってしまうのでしたら、個人の治療としては特に追加しなくて大丈夫です。
しかし特に重症化しやすい妊婦さんやご高齢の方、持病のある方は、高熱が出て、関節痛、筋肉痛、咳や鼻水がひどくなってきたら、やはり受診していただきたいと思います
インフルエンザの感染はまだ終わったわけではない
1月をピークに3月まで続く
インフルエンザの流行は基本的には12月から3月くらいまでと言われていて、例年ピークは1月です。遅くまで続くと3月まで流行が続くということがあります。
暖かくなると、インフルエンザのウイルスの活動性自体が落ちてくるのではないかと言われています。
グローバル化で流行時期が変わることも
季節が逆転する南半球では日本の夏の時期に流行するので、やはり寒い時期に流行り、暖かくなるとウイルスの活動自体が落ちてくるのかなと思います。
一方、東南アジアなどの熱帯地域では、雨季を中心に一年中患者が発生しています。
グローバル化で南半球と北半球の人の行き来も多くなりましたので、そういう方たちが季節外れのインフルエンザウイルスをもってくるというのはあると思います。
医科歯科ドットコム編集部コメント
お医者さんでも検査をしてみないと見分けづらいものなのですね。暖かくなってきた今の季節もまだシーズンですので、喉鼻だけの症状じゃなさそうだと思ったら、疑って受診してみるのがよさそうですね。
また今年は南半球含め海外からの観客も増えるオリンピックがあります。インフルエンザウイルスの活動性がこれから落ちてはきますが、感染の可能性はありますので、手洗いなど自衛を引き続き心がけていきましょう。
取材日:2020年2月12日
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プロフィール
<略歴>
1984年生まれ/千葉県出身
2003年開成高校卒業
2010年北海道大学医学部卒業/同年より亀田メディカルセンター初期研修医
2012年より同院血液腫瘍内科後期研修医
2013年より帝京大学ちば総合医療センター血液・リウマチ内科後期研修医
2014年より助手
2015年より帝京大学大学院医学研究科第一臨床医学専攻博士課程
2018年博士課程早期修了/博士(医学)
2018年合同会社ケンワーク代表社員
<資格>
日本医師会認定産業医
日本血液学会血液専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会認定医
抗加齢医学会抗加齢専門医
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