【医師が回答】「新型コロナウイルス、ウイルス界ではそれほど強くない」他の感染症と感染力・死亡率を比較

 
2020年1月頃から中国の武漢市を中心に猛威を振るっている新型コロナウイルス(COVID-19)ですが、中国では感染者と死者が日に日に増しています。
 
日本でも、横浜・大黒ふ頭沖に停泊しているクルーズ船内で感染者が増え続け、2月13日には乗客乗員合わせて218人と発表されました。
 
他の感染症と比較した感染力と死亡率について、津田 健司(つだ けんじ)医師にお話を伺いました。
 

感染力はインフルエンザと同程度で、実はそんなに強くない

――新型コロナウイルス(COVID-19)の感染力はどれくらい?
 
感染力は、インフルエンザや2002年から2003年に流行ったSARSと同じくらいと言われています。
 
1人が何人にうつすかという「基本再生産数」、いわゆる拡散力を示す数字がありますが、WHOの発表では、1.4~2.5くらいです。
 
その後のデータでも、2.0~3.0くらいと言われていて、普通にしていたら平均して1人の人が2人か3人くらいの人にうつす感染力ということです。
 
これはインフルエンザと同じくらいの感染力ですが、ウイルス界ではそれほど強い方ではないです。
 
ウイルス界で最強と言われているのは、百日咳(ひゃくにちぜき)と麻疹(ましん)です。
 
百日咳と麻疹は、だいたい16人から20人くらいに感染すると言われていますので、それと比較したら強くはないです。

 

死亡率もSARSやMERSと比較すると、それほど高くない

――新型コロナウイルス(COVID-19)による死亡率はどれくらい?
 
死亡率は、新型コロナウイルスの場合、今のところ分かっている数字は、2~3%くらいです。
 
ただし、これは99%が中国で死亡しています。他の地域で死亡しているのは、香港とフィリピンで1人ずつです。
 
中国のデータを見ると2~3%くらいと言われています。インフルエンザは0.05%なので、それからすると単純計算で40~60倍くらいの死亡率があります。
 
しかし、同じコロナウイルスのSARSでは10%くらい、MERSでは34%くらいとかなり高かったです。
 
それらと比較すると、それほど高くないというのが現時点(2月12日)わかっている新型コロナウイルスの性質です。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染力と死亡率について、津田 健司(つだ けんじ)医師に教えていただきました。
 
感染力はインフルエンザと同じくらいで、死亡率も同じコロナウイルスのSARSやMERSと比較してもそれほど高くはないとのことでした。
 
しかしながら、2月13日夜遅くに、遂に日本でも渡航歴のない人が感染、そして死亡した例が報告されました。日本でも感染拡大が懸念され、ワクチンの迅速な開発を願うばかりです。
 
感染を広げないためには、今後も新しい正確な情報を取り入れ、一人ひとりが感染症予防に取り組むことが求められます。予防には、基本となる手洗いをしっかり行うことが大切です。

 
取材日:2020年2月12日
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プロフィール

津田 健司(つだ けんじ)医師
 
<略歴>​
1984年生まれ/千葉県出身​
2003年開成高校卒業​
2010年北海道大学医学部卒業/同年より亀田メディカルセンター初期研修医​
2012年より同院血液腫瘍内科後期研修医​
2013年より帝京大学ちば総合医療センター血液・リウマチ内科後期研修医​
2014年より助手​
2015年より帝京大学大学院医学研究科第一臨床医学専攻博士課程​
2018年博士課程早期修了/博士(医学)​
2018年合同会社ケンワーク代表社員​
 
<資格>​
日本医師会認定産業医​
日本血液学会血液専門医​
日本内科学会総合内科専門医​
日本内科学会認定医​
抗加齢医学会抗加齢専門医
 

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