多くの人が気になる美容整形。
今回は第一線で活躍される現役の医師で大西皮フ科形成外科医院の大西勝院長にお話を伺いました。
昨今多く見られるSNSや口コミサイトなどで見受けられる患者さんの感想や体験談。
いずれも必ずしも信憑性が高いとは言えません。
それらを医師の目から見たら現実は、そして美容整形のあるべき姿についてお話をお聞きしました。
美容整形に対する先生のお考えや思いを教えてください。
以前でしたら、美容整形というのはイメージが悪くて、人に隠れてこっそりするようなイメージがあったと思います。
もちろん今でもそういった否定的なイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
ただ、その方が元々お持ちのコンプレックスを美容整形をきっかけにして、少しでもそれから開放されて前向きに生きていくきっかけになれるのであれば、その方にとってはすばらしい、価値のあるものではないかと思います。
先生が力を入れられている「レーザー治療とは、どういった治療に有効なのか?」教えてください。
レーザーと一口に言っても、例えば、ほくろを焼いて取る様な炭酸ガスレーザーから、シミとか痣とかの色素を抜くようなqスイッチレーザー、ピコレーザー、あるいはニキビ跡の凹凸を治すようなフラクショナルレーザーがあります。
従来の手術、例えば電気メスとかに比べると、レーザーというのは選択性があり、正常組織には全くダメージを与えずに、その狙いとする色素だけを抜くことが可能という機械です。
そのため、ダウンタイムが少なくて仕上がりがとてもキレイです。
レーザー治療のメリット・デメリットを教えてください。
大きなデメリットはないと思いますが、もちろんレーザー治療にも限界があり、全てのものがレーザー治療で解決する(治療できる)というわけではありません。
また、疾患によっては、現在でも手術や他の方法の方が優れた結果を得られる場合もあります。
最近、相談が多い治療と、おススメする治療方法を教えてください。
以前は例えば、シワやたるみに対しても第一選択が手術であったものが最近は自然な若返り、あるいはダウンタイムがより少ない治療ということで従来なら切って、リフトアップしていたものが糸によるリフトアップであったり、あるいはその使う糸も吸収されない糸から吸収される糸に変わっていったり、あるいはまた従来なら手術で切って取っていたものをヒアルロン酸で自然な若返りを図るといった風に時代が流れてきていると思います。
美容整形について以前は裕福な方がやるものとか、ちょっと年配の方がやるものだよとか、昔は印象としてあったと思いますが、最近はどうもそういうわけではないのかなと感じられますが、実際に受けられる年代とかに変化は見られますか?
もちろん、年代に追って多い治療というのは変わってくるとは思いますが、美容整形といってもプチ整形といったものから、がっつり顔を変えてしまうものまで幅広くあると思いますが、若い方であれば、目を二重にするとか、注射で少し鼻を高くするといったものになりますし、もう少し、年齢が上になると、いわゆるアンチエイジング的な、シワ、たるみ、シミの治療などが増えていくと思います。
先生が今、注目されている最新治療について、教えてください。
当院で導入した最近の治療としましては、I2PL(アイツーピーエル)治療、ノーリスという新しい光治療器が出てきています。特にシミはもちろんのこと、赤ら顔に非常に効果的な治療になっています。
従来、赤ら顔ですとVビームレーザー、あるいはYAGレーザーを使用していたのですが、少し腫れたり、色が濃くなったりしてダウンタイムがあるわりには、治療効果が期待するほどではありませんでした。
ところがそのノーリスはダウンタイムが全くなく、治療のたびに効果が出るといった非常に優れた治療が登場してきました。
美容整形は訴訟などトラブルも多い印象ですが、良いクリニックの見分け方や、注意点を教えてください。
HPを見るとどこのクリニックもいいようなことしか書いてないと思います。
なかなか今のSNS、情報化社会でもHPからだけでは判断するのは難しいと思います。
まずは、HPをご覧頂いて、院長が誰なのか、あるいはスタッフの写真や名前が載っているのかを最低限チェックされるのがいいかと思います。
最近は、経営自体が医者ではなくて非医師の経営者というのが増えてきていて、必然的にそういったクリニックは、雇われている医師、院長がいるわけで、そういう院長はどうしてもころころ変わる、あるいはスタッフも行く度に変わっているというクリニックは、何らかの問題があるという風に考えられると思いますので、要注意かなと思います。
美容整形のクリニックを探すにあたり、ポータルサイトとかでいろいろ比較もできるようになってきているが、そういうものを活用するのも一つの手だとお考えですか?
口コミもある程度の参考にはなると思いますけど、なかなかそれだけでは判断しにくいところもあるので、ネットの口コミというのはなかなか信頼の置けない部分もあると思いますので、やはり複数のクリニックのカウンセリングを受けられて、大きな治療を受けられるときには、納得の上でクリニックを選ぶというのがいいかと思います。
最近、海外への整形ツアーなどが流行っていますが、 実際の所、日本の技術レベルは、世界の何番目とお考えでしょうか?又、その理由は何でしょうか?
何番目というのは難しいとは思いますが、やはり日本人の治療をするにあたっては、日本人の感覚というのが大事になると思います。
最近は韓国で整形を受けてきて糸だけ抜いて欲しいという患者さんが非常にたくさん来られます。
聞くところによると、料金が日本の半分、1/3だとかで行かれるみたいですけれども、やはり必ず通訳がいたとしてもこちらの気持ちや、希望が向こうに伝わっているとも限りませんし、また韓国のドクターとは我々と美的感覚が違う部分もありますので、たとえば再治療ですとか、また思った結果が得られなかったですとか言う場合のことを考えると、やはり日本で受けられることをおすすめします。
美容整形についての考え方には海外と開きがあると思いますが、何が原因だと考えられていますか? (韓国は20%が整形しているとも言われます。一方、日本では、できるものなら整形したい!と考える人は多いものの、ハードルはお金以上にある印象です)
根本的には文化、倫理観、宗教的なものの違いということもあると思います。
日本も段々と変わってきているとは思いますけれども、やはり整形というか、ちょっとした治療を通して就職や人に与える第一印象がマイナスになるものがあり、あるいはそれを受けることによってよりプラスになるのであれば、日本でもより盛んになっていくのではないかと思います。
美容整形に対して悩まれている方に、メッセージをお願いします。
現在は、美容クリニックもたくさんできたと思います。HPあるいは口コミ、紹介など、色々なきっかけはあるとは思いますけれども、まずは複数のクリニックを受診して本当に納得の上で治療を受けられるのがいいと思います。
また以前どちらかのクリニックに行かれて、なかなか治療が難しいといわれたことのある方も日々医学は進歩しておりますので、何か治療法が見つかるかも知れません。
カウンセリングだけでもお待ちしておりますのでお気軽にまたお越しください。お待ちしております。
医科歯科ドットコム編集部コメント
今回、大西皮フ科形成外科医院の大西勝院長に美容整形の今について伺いました。
より専門的な医師の立場でのお話は大変興味深く、信憑性の高いものでした。
美容整形というと見た目の治療ととらわれがちですが、大西勝院長のお話を伺っていると施術を受ける方の気持ちにも寄り添って治療に向き合っているという印象を受けることができました。
取材日:2019年6月26日
プロフィール
院長
大西 勝
1990年 国立香川医科大学 医学部 卒業
1990年 京都大学医学部形成外科 入局
1990年~1991年 京都大学医学部附属病院形成外科
1991年~1993年 大阪赤十字病院形成外科
1993年~1994年 社会保険広島市民病院
1994年 角谷整形外科病院
1994年~1997年 冨士森形成外科医院
1997年 大西皮フ科形成外科医院 滋賀大津石山院 開業
2012年 大西皮フ科形成外科医院 京都四条烏丸院 開院