【薬剤師が解説】どこでなんの薬が買える?コンビニで風邪薬は買えるのか?

夜になって風邪薬がほしいな…という時にどこに行きますか?
 
クリニックや薬局が閉まっている時間帯でも、遅くまで開いているドラッグストアや、稀に薬が置いてあるコンビニの存在はありがたいものですよね。
 
そもそも薬局とドラッグストアは何が違うのでしょう?またコンビニも薬を置いていたり、置いていなかったりすることがありますが、なぜでしょうか?
 
そんな日常の疑問を㈱ミナカラの薬剤師 児玉 亮二(こだま りょうじ)さんに教えていただきました。
 

そもそも薬局とドラッグストアは業種も許可区分も別!

同じように薬を扱っているところと思われがちですが、ドラッグストアと調剤薬局は、そもそも業態が違います。
 
ドラッグストアはもともと小売業に近く、許可区分もドラッグストアは薬局とは別の薬店となっている場合が多いです。
 
薬局は薬剤師が必ずいないといけません。対して薬店は薬剤師か登録販売者がいればいいというものです。
 
処方箋を出して薬をもらえるような場所も併設されていることが、最近は珍しくなくなりましたが、本来別の業界だったドラッグストアが、新しく薬局業務を始めたということです。
 
以前は、市販薬はドラッグストア、処方薬は薬局というように明確に分けられていました。今は両方の垣根がなくなってきています。

 

コンビニで風邪薬が買えるか買えないかは「薬店」になっているか次第

コンビニで風邪薬などの市販薬を置いているところがありますが、それは薬店の許可をとって、薬剤師か登録販売者をたてているところです。
 
扱える薬は薬剤師がいるか、登録販売者だけなのかで変わってきます。
 
市販薬の中でもリスク区分があり、薬剤師でないと販売できないもの、登録販売者がいれば販売できるものがあります。

 

市販薬は5つのリスク区分で販売できる人が違う

薬局やドラッグストアで販売している市販薬は、まず5つのリスク区分に分かれています。
 
要指導医薬品、第一類医薬品、指定第二類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品です。この他に、指定医薬部外品や医薬部外品などがあります。
 
要指導医薬品と、第一類医薬品は薬剤師しか販売ができません。販売の際には、薬剤師がその人に販売していいか、使用していいかの判断をした上で販売をすることが法律で決められています。
 
有名なのはロキソニンなどです。
 
指定第二類医薬品以降は薬剤師が不在であっても、登録販売者がいるところで購入できます。

 

リスクが高いと判断されると薬剤師が販売をストップ

 
販売できないと判断する基準は多様です。
 
ロキソニンを例にすると、胃潰瘍のリスクが知られていますが、ご高齢の方は胃が弱ってきていることが多く、胃潰瘍のリスクがより高くなります。
 
そのような方がロキソニンをまとめて10個買いたいと言われた場合は、専門職として薬剤師から販売できませんと判断をさせていただきます。

 

「この薬を飲んだことはありますか」という言葉で副作用のリスクを確認

よく聞くフレーズかと思います。これを聞く意味は、以前服用したことがあれば、その際の副作用の有無もわかり、リスクを抑えられると判断するためです。
 
飲んだことある方でも飲み方や副作用の説明はしますが、初めて飲むという方には、注意点をより深く説明したり、アレルギーがないかなどの聞き取りを確認するなど、少し対応を変えることがあります。

 

処方薬も特許期間が過ぎると市販薬で出てくる

市販薬の業界も変わりつつありますが、以前は基本的に昭和の頃から使われている処方薬が市販薬で出ているという感じでした。
 
この頃より、市販薬として出てくるまでのタイムラグが短くなってきています
 
花粉症の抗ヒスタミン薬第二世代であるフェキソフェナジンも、もうすでに市販薬としてアレグラが出ています。
 
薬の特許期間は守られますが、その後は厚生労働省によって市販薬として販売して良い、と判断されれば市販薬が登場します。
 
成分ベースでみるとロキソニンやアレグラなど、処方薬と市販薬で同じというものも少なくありません。
 
医療用医薬品から一般用医薬品(市販薬)に切り替わったもの、これをスイッチOTCと言います。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

クリニックや病院だけに頼らない、セルフメディケーションが重視されるようになり、薬を買えるところも増えてきました。夜間に自分で薬を買いに行けるのはありがたいですね。
 
ですが、薬を買う時に迷ったり、長く服用が続くときは、専門職である薬剤師や登録販売者、そしてクリニックにかかるということをぜひご検討ください。

 
取材日:2020年1月31日
 

プロフィール

児玉 亮二(こだま りょうじ)
株式会社ミナカラ
ミナカラ事業・ディレクター・管理薬剤師
 
京都薬科大学薬学部卒業
急性期病院薬剤師、薬局薬剤師勤務を経て株式会社ミナカラ入社
より多くの人に質のいい医療を提供することを目標に活動中
 
薬剤師として、オンラインや電話でお薬の相談対応を行うことはもちろん、ミナカラ薬局コンテンツ記事(https://minacolor.com/)の執筆・医療監修や事業の企画立案などを行う
LINE薬剤師相談サービスの立ち上げやOTCのネット販売やPB開発に参画