――薬のことなら薬剤師に聞け!「花粉症の薬」について教えてもらいました。
花粉症に対しては飲み薬を服用することが一般的ではありますが、肌に貼るタイプの花粉症薬があるってご存知でしたか?
今回は花粉症の貼り薬について、また薬の飲み合わせについてのアドバイスを(株)ミナカラの薬剤師 児玉 亮二(こだま りょうじ)さんに教えていただきます。
花粉症に対して「貼るタイプの薬」があるって本当?
貼るタイプの花粉症薬は、基本的には飲み薬の代わりに使用することができます。飲み薬を選択するか、貼り薬を選択するかということですね。
テープで貼るタイプの花粉症薬は、アレグラなどの「第二世代の抗ヒスタミン薬」と言われる飲み薬の一つである「レボセチリジン」と同じ程度の効果が出るのではないかと報告されています。
しかし眠気が出る可能性や、貼るとかぶれるという副作用が出る場合もありますので、それを踏まえたうえで使っていただければと思います。
なぜ「貼るタイプの花粉症薬」は貼るだけで効果が出るのですか?
皮膚からも薬は吸収されます。皮膚ごしに血管が透けて見えたりするように、皮膚と血管は近くにあるので、薬の分子量(大きさ)にもよりますが、「経皮吸収」といって皮膚から血液に入り全身に作用します。
実際に貼ってから数時間後に血液検査をすると、有効成分が検出されます。
ですから、「貼る花粉症薬」も同じ効き目の飲み薬と合わせて服用しないようにしてください。
薬の飲み合わせについて気をつける点はありますか?
注意していただきたいのは、貼り薬の花粉症薬も第二世代の抗ヒスタミン薬なので、他の抗ヒスタミン薬は併用しないでください。
増やしても治療効果には差がないことがほとんどの薬で報告されており、むしろ副作用が上がる一方だとわかっています。そのようなリスクだけを増やす飲み方はやめていただきたいです。
花粉症の薬を飲むだけでは、症状がいまいち治まらないときはどうすればいいでしょうか?
薬を飲んでも鼻づまりが酷い、目の痒みがおさまらないときは、炎症止めや痒み止めの入った点眼薬、点鼻薬を使っていただいても大丈夫です。
点眼薬や点鼻薬は基本的には局部的にその場所にだけ効くようにできていますが、一部は血管に吸収されるので、できれば抗ヒスタミン薬の重複は避けた方が良いでしょう。
点鼻薬であれば炎症を抑えるステロイド成分はくしゃみ・鼻水・鼻づまりに効果がありますし、点眼薬であれば抗ヒスタミン薬以外にも痒みを抑える成分があります。
アレグラのような第二世代の抗ヒスタミン薬と言われる飲み薬などに、点眼薬や点鼻薬をセットで提案することはよくあることです。
どれを選べばいいかわからない場合は薬剤師・登録販売者に相談することをお勧めします。
ステロイドを使う場合はありますか?
ステロイドに関しては、炎症が出てきたらそれを抑えるという作用とともに、アレルギーの原因となる伝達物質を抑える効果もあります。
ちなみに、内服の抗ヒスタミン薬よりも点鼻のステロイドの方が花粉症に対する効果が高いという報告もあります。
医科歯科ドットコム編集部コメント
貼り薬に関しては、皮膚からも薬の成分を吸収することができるため、飲み薬と同様の効果があるとのことでした。ですから、貼り薬を使用する場合は飲み薬との成分の重複に注意してください。
取材日:2020年1月31日
プロフィール
株式会社ミナカラ
ミナカラ事業・ディレクター・管理薬剤師
京都薬科大学薬学部卒業
急性期病院薬剤師、薬局薬剤師勤務を経て株式会社ミナカラ入社
より多くの人に質のいい医療を提供することを目標に活動中
薬剤師として、オンラインや電話でお薬の相談対応を行うことはもちろん、ミナカラ薬局コンテンツ記事(https://minacolor.com/)の執筆・医療監修や事業の企画立案などを行う
INE薬剤師相談サービスの立ち上げやOTCのネット販売やPB開発に参画