【現役医師に聞く】大人のアトピー性皮膚炎が増えている！睡眠不足やストレスで悪化することも？

 
幼少期だけの症状と思っていたアトピー性皮膚炎が、大人でも発症が増えているそうです。
皮膚科専門医の花房火月（はなふさひづき）医師に、アトピー性皮膚炎の治療について教えていただきました。
睡眠不足やストレスで症状が悪化してしまうこともあるようです。

もはや子どもの病気ではない。大人に増えるアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、通常1歳から5歳頃に発症する子どもの病気というイメージが強かったと思いますが、先進国では10代、場合によっては20代で発症という成人性発症皮膚炎がすごく増えています。
 
子どものアトピー性皮膚炎は、だいたい大人になるにつれ治っていきます。
子どもの場合は、卵、牛乳、小麦などの食物アレルギーとリンクしており、それが6歳から10歳頃で抜けてきます。
従って、抜けるタイミングと一緒にアトピー性皮膚炎も良くなるというのが一般的でした。
 
しかし、子どもの頃から持ち越して、10代、20代、30代となってもアトピーを持っているという方が増えています。
その原因はまだ不明ですが、子どもの病気とは到底言えないような現状になってきています。

就職や進学で一人暮らしをきっかけにして発症することもある

アトピー性皮膚炎は、たとえば頭、首、ひじ、ひざの裏といった箇所に慢性湿疹（まんせいしっしん）が起こり、半年以上続くというのが定義となっています。
そういった典型的な部位に対し、大人の場合も半年以上湿疹を繰り返していればアトピー性皮膚炎と言えます。
 
大人のアトピー性皮膚炎は、何かライフイベントをきっかけに発症している場合が多いです。
たとえば就職してから、大学生になって自炊するようになってから、など何かきっかけがある場合があります。
もし、生活を戻せるのであれば戻してみるというのも一つの改善方法です。
 
また、原因ではないものの、暴飲暴食、睡眠不足、ストレスなどで悪化すると考えられます。
そのあたりの生活習慣を改善し、よりストレスが少なく健康的な食生活、健康的な睡眠を心がけましょう。

ステロイド以外の治療法も！アトピー性皮膚炎の治療とは

病院ではステロイドしか出されないと思っている方もいらっしゃると思いますが、今は「タクロリムス軟膏（一般名：タクロリムス水和物）」というステロイドを含まない軟膏もありますので、ステロイドに抵抗のある方はそちらも選択ができます。
 
ステロイドの副作用として、皮膚が薄くなり更にデリケートになってしまったり、赤ら顔の原因となったりなどもありますので、それ以外の治療法も進んできているのです。
重症なアトピー性皮膚炎の方には、「ネオーラル（一般名：シクロスポリン）」といった免疫抑制剤も保険適用になっています。
 
また、最近では「デュピクセント（一般名：デュピルマブ）」という注射薬も保険適用になり、重症のアトピー性皮膚炎、通常の治療ではよくならない皮膚炎の方は、これらを注射することで症状を改善させることができます。
 
この注射薬はアメリカでは「ゲームチェンジャー」と言われ、アトピーの流れを完全に変えるということが期待されている薬です。

編集部コメント：アトピー性皮膚炎は以前よりも治療の選択肢が増えている

アトピー性皮膚炎の治療法はステロイドだけでなく、ステロイドを含まない軟膏や免疫抑制剤、注射薬などの選択肢が増えているようです。
以前に病院に相談したけれども、アトピー性皮膚炎を改善することができなかったという方も、改めて病院に相談されてみてはいかがでしょうか。

 
取材日：2019年10月4日
 

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