いよいよ花粉症の季節が近づいてきました。花粉の飛散情報が表示されだすと目のかゆみや潤みを感じ始める方も多いのではないでしょうか。
今回は、多くの花粉症の患者さんの対応をされている「とだ眼科」院長 箕田宏医師に、眼科では目のかゆみをどう抑えているのかまた、花粉シーズンのコンタクトレンズ使用で気をつけることについても教えていただきました。
花粉症について教えて!
2月から4月というのはやはり眼科はどこも花粉症の患者さんでいっぱいになります。
眼科では目のかゆみ、充血、涙が出るなどの結膜炎の症状がメインです。
耳鼻科の症状でもあるくしゃみ、鼻水、鼻のかゆみなどが出る方も多いので、眼科、耳鼻科両方にかかる方も多いです。
徐々に出来上がっていくアレルギー反応
花粉症とは、花粉に対する後天的なアレルギーです。
ある程度の年齢になり免疫が発達すると、花粉にさらされた時に身体の中にそれに対する抗体が作られ、免疫細胞ができていきます。
その後にまた花粉にさらされると、免疫が花粉に対して攻撃をするようになります。その際にでる化学物質が花粉症の症状を引き起こします。
目のかゆみにはどんな対処法があるの?
花粉症による目のかゆみに対する治療法は基本的には、出た症状に対して対処していく対症療法になります。
処方される点眼薬としては、アレルギーの仕組み自体に作用する抗アレルギー薬を使用し炎症を起こす化学物質の放出を防ぎます。
それでも炎症を起こし、かゆくなったり、涙が出る場合は、低力価のステロイドを中心とした消炎点眼薬の追加を検討します。
実際、多くの患者さんに抗アレルギー点眼薬と消炎点眼薬が処方されます。
また内服薬も効きますので、抗ヒスタミン薬など内服の抗アレルギー薬も併用することがあります。
問題となる花粉の種類は?
日本では4人に1人が花粉症と言われます。その原因として代表的なのはスギ花粉です。やはり圧倒的にスギの花粉症の人が多いです。
日本の特徴として杉の木自体がとても多いというのもあります。
またアスファルトで舗装されている為、花粉が落ちてもまた舞い上がる環境となっており、春は常に日本人は花粉にさらされている状況です。
他にも花粉症の原因として知られるのはヒノキや、夏から秋にかけてはイネ科の植物やブタクサがあります。
花粉症患者は春が圧倒的に多いですが、秋も花粉症が多いです。
「コンタクトレンズ」は花粉の時期に付けても大丈夫でしょうか?
コンタクトレンズにも花粉は付着します!
花粉の季節に、コンタクトレンズを付けることが目に与える影響としては、1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズもハードコンタクトレンズもほぼ同じかと思います。
1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズは花粉が付いたものを毎日捨てることができ、ハードコンタクトレンズの場合も洗浄することでその日に付いた花粉を落とすことができます。
2週間または1ヶ月使用のソフトコンタクトレンズは毎日外した際にこすり洗い、化学洗浄液にてのお手入れが必要ですが、その作業だけではレンズに付着した花粉を完全に除去することは不可能で、徐々に花粉の付着量が増すことで花粉症を重症化させてしまいます。
普段、2週間や1ヶ月タイプのソフトコンタクトレンズを使っている方が、花粉の季節だけ使い捨てタイプに変更することは有効かと思います。
ハードコンタクトレンズでもいいのですが、ソフトコンタクトレンズを常用している方がハードコンタクトレンズに変更をするのは、その異物感に慣れにくいなどあるかもしれません。
花粉を身体に入れないことが基本!
予防としてはやはり花粉をできるだけ身体につけない、目に入れない、鼻から吸わないようにするということが大事です。それを防ぐマスクやメガネの装着は効果的です。
洋服への付着も多いので外から戻ったら掃除機で吸ったり、部屋に持ち込んでしまった花粉はまめに掃除をするなどの対策をすることは効果があると思われます。
医科歯科ドットコム編集部コメント
花粉によって起きる目のかゆみには、内服薬を使う場合があるそうです。
点眼だけで痒みが収まらない場合はぜひ相談してみてください。
花粉を持ち込まないなどの対策をして、少しでも快適に春を過ごしたいものですね。
取材日:2020年1月20日
プロフィール
箕田 宏 医師
<経歴>
東京医科大学卒
北海道大学医学部癌研 ウイルス研究生
市立根室病院 眼科部長
東京医科大学 医学部医学科臨床医学系眼科分野 客員講師
<専門分野>
眼感染症
ぶどう膜炎と網膜硝子体疾患