目の表面を守る涙が少なくなったり、質が悪くなったりという症状がでるドライアイ。
それは『目が乾く』という感覚の問題だけではないそうです。
最近ドライアイに悩む患者さんが多くなっていると聞き、「とだ眼科」院長 箕田宏医師にお話を伺いました。
子どもにも症状が出るドライアイは角膜を傷つける原因にも
小学生でドライアイと診断された例も
私的な印象にもなりますが、以前はドライアイというのは通常ある程度成人以降に見られるものという認識でした。
しかし最近は小学生などとても若い人でも目の渇きを訴えていて、実際に検査をしてみるとドライアイと診断される場合があります。
そういった方はお子さんでも大人と同じようにドライアイの目薬を処方します。
さしてしまえば快適になりますので、目薬を習慣づけていただくようになります。
常にエアコンが効いている状態で過ごすことやパソコンを使った作業、スマホを利用するシーンなどが増えていることなど、様々な環境の変化がドライアイが増える原因になっているのかなと思います。
角膜へのダメージで視力が下がることも
ドライアイは乾燥を感じて辛いという自覚的な問題と、角膜への問題があります。
通常の涙が十分ある状態ですと角膜に傷はないのですが、それがドライアイで涙による保護がないと角膜に小さな傷が増えていきます。
その小さな傷を放置していくとどんどん増えていき、ドライアイ症状の悪化、痛み、視力の低下やかすんで見えるようになるなどの重篤な症状になっていきます。
そうなっていく前に、ドライアイじゃないかと自覚をしたら眼科を受診し点眼薬をしたほうがいいかと思います。
きちんと対処すれば快適に過ごせるように
ドライアイでもコンタクトレンズは使える
コンタクトレンズにも色々な種類があります。
潤い成分があり材質がいいコンタクトレンズがありますので、ドライアイの人に処方する際にはそのようなレンズをお勧めします。
また、コンタクトレンズをしながらドライアイ用の目薬を併用することもできます。
ドライアイがひどすぎてコンタクトができないという方もまれにいらっしゃいますが、たいがいの場合レンズの質を変えて、ドライアイ用の点眼薬を使うことでコンタクトレンズを使えるようになることが多いです。
目を温めるというのは有効です
昔からそういった温める治療がありました。罨法(あんぽう)といいまして目を温めて病気の改善をはかるというものです。温めるということは有効です。
よくホットアイマスクと言って、目元を温めるものの宣伝を見ますが、目への効果としては結構快適にはなりますし、いくつかの病気の予防にもなります。たまにお勧めすることもあります。
編集部コメント&ドライアイ自己チェック法
簡易的なドライアイの自己チェックとして、10秒間まばたきをせず目を開けていられない場合、通常時の涙が不十分な可能性があるそうです。
忙しいとがまんしてしまいがちな目の乾きですが、角膜が傷つく前に眼科の先生にご相談をおすすめします。
取材日:2020年1月20日
プロフィール
箕田 宏 医師
<経歴>
東京医科大学卒
北海道大学医学部癌研 ウイルス研究生
市立根室病院 眼科部長
東京医科大学 医学部医学科臨床医学系眼科分野 客員講師
<専門分野>
眼感染症
ぶどう膜炎と網膜硝子体疾患