「眼科検診で目の中まで診てもらうべき」緑内障は先手先手で治療が必要な理由を眼科医が説明!

 
緑内障とは、視神経に障害が起こり視野が徐々に狭くなっていく病気です。神経が失われてしまうと元の状態に戻すことはできないようです。眼科医の箕田宏(みのだひろし)医師に、緑内障の治療と検査についてお話を伺いました。

 

緑内障とは、視神経の障害により視野が狭くなっていくこと

――緑内障とは何ですか?
 
緑内障というものは、視神経の障害によって生じる病気です。徐々に視野(見える範囲)が狭くなっていくという症状が出てきます。
 
悪化する速度に関して、眼圧(目の固さ)が非常に重要な要素になります。眼圧によって視神経が障害されるということが病気の基本概念です。眼圧以外にも視神経を障害する要因があるはずですが全ての要因については解明されていません。
 
基本的には、緑内障の人は眼圧の値を下げる治療をおこないます。しかし、眼圧には絶対値というものがなく、その人にとって良好な眼圧というものがあります。つまり、ある人にとっては良い値でも、ある人にとっては良くない値ということです。
 
また、「正常眼圧緑内障」というものがよく取り立たされています。これは、眼圧が正常値なのに緑内障になってしまうということです。緑内障の場合、一般的には「眼圧が高い」と認識されてます。
 
しかしながら、眼圧が高くないのに緑内障になってしまう人の方が、圧倒的に多いのです。治療では眼圧を下げる必要がありますが、皆さん共通の眼圧ではないので、普段の眼圧チェックや眼底検査が重要になってきます。

 

緑内障になる眼圧は人それぞれ、値を下げることが治療として有効

――その人に適した眼圧が人によって違うということですか?
 
緑内障になる眼圧に、絶対値的なものがないということです。一般的には、正常な眼圧の平均値は15 mmHg前後と言われています。それより数値が大きいと眼圧が高いということになります。
 
しかし、正常値もしくはそれより低くても、緑内障になってしまうことがあります。眼圧に依存するが、眼圧が全てではないということです。
 
――視神経が弱ってくるということですか?
 
緑内障は、視神経が徐々に傷んで弱ってくる病気です。所見や検査結果などで眼圧が高くても正常値でも、だいたい同じような経過をたどります。
 
眼圧だけでは緑内障と言えないため、眼底写真や検診をして判断します。治療の効果で有効なのは今の眼圧より下げることです。眼圧を下げて、予防・進行させないようにします。

 

眼科検診で、目の中まで診てもらうように言いましょう

――眼底検診で緑内障か分かるのですか?
 
緑内障の診断は、神経の形が緑内障性変化を起こすということが必須の条件であり、それが認められると緑内障の可能性が高いと言えます。眼底検診などで指摘されることが多いと思います。
 
――眼科検診でも、眼底まで診てもらうことが大事?
 
目の中まで診てもらえば分かりますので、積極的に言った方が良いと思います。表面の傷だけでなく、目の中まで診てもらうと良いです。「緑内障は大丈夫ですか?」と一言伝えれば、診てもらえると思います。
 
視神経の形が正常の方と比べて変わっていないか、というのを検査では診ています。緑内障を起こしてなければ眼圧には問題がないということになります。最終的に視野に障害がないかを調べる視野検査というものをして確定診断に至ります。
 
――緑内障は治療をしても失われてしまった視野は取り戻せない?
 
現在の医療では、残念ながら緑内障によって生じた神経障害は元に戻すことはできません。ですから、手後れになってしまう前に、先手先手で治療をしないといけないのです。

 

編集部コメント:気づきにくい病気だからこそ定期検査が大切

緑内障について眼科医の箕田宏(みのだひろし)医師に教えていただきました。視野が狭くなっていく症状を緑内障と言い、一度失ってしまった視神経は元には戻らないということでした。
 
気付きにくい病気だからこそ、定期的に検査を受けることが大切です。目の検査をおこなうことがあれば、目の中も診てもらうように一言伝えてみましょう。早期発見と早期治療が重要になります。

 
取材日:2020年1月20日
 

プロフィール

とだ眼科 院長
箕田宏(みのだひろし)医師
 
<経歴> 
東京医科大学卒
北海道大学医学部癌研 ウイルス研究生
市立根室病院 眼科部長
東京医科大学 医学部医学科臨床医学系眼科分野 客員講師
 
<専門分野> 
眼感染症
ぶどう膜炎と網膜硝子体疾患