【眼科医に聞く】子供に急増している「スマホ斜視」ってナニ?自覚症状がでたら注意!

 
日常的にスマホを使用していると、知らずと目に負担をかけていることがあります。
近視の増加とともに「スマホ斜視」という症状もあるそうですが、ご存知でしょうか?
今回はスマホ斜視という症状について、「とだ眼科」院長 箕田宏医師にお話を伺いました。

 

スマホの利用は現代人の近視化を助長!?

スマホの利用は視力の低下に影響すると言ったほうがいいと思います。
スマホは手元で使うツールですので、この手元をずっと見るという行為がピントを近くに合わせ続けるという負荷を目にかけることになり、近視化する可能性があります。
 
日本をはじめ先進国には近視の子が多いと言われますが、これは早くから勉強をしたり、様々な手元で見るツールを長時間使うことで、ピントが手元に合ってきてしまうことによると思われます。

 

子供の報告が相次いだスマホ斜視とは?その対策とは


スマホを利用する機会が増えたことにより、最近話題になっている症状のひとつに、「スマホ斜視」というものがあります。
 
だれしも手元を見る際は目を内に寄せて見るため、自覚はなくとも他の人から見ると目が寄って見えています。
 
通常、目は手元を見なくなったら普通の位置へ戻るのですが、長い時間、手元ばかり見ていると目が寄った状態のまま緊張状態になってしまい、手元を見ているわけではないのに目が内側に寄って戻らなくなるというものです。
子供の発症例が度々報告され話題になりました。
 
これは病気というよりはそのような癖がついてしまっているという感じで、なるべく長時間手元を見ないようにするなど生活習慣を変えることで対処していきます。

 

スマホ斜視は治りますか?

今のところ、スマホ斜視に関してはスマホをできるだけ見ないようにする、利用時間を短くすることでほぼ改善を得られると言われています。
ですが、それでも戻らない場合は、目の位置を動かす手術をするというのが最終的な対策になります。

 

斜視には「先天斜視」「後天斜視」の2種類がある

斜視は、生まれつきから認める「先天斜視」と年齢を経てから生じてくる「後天斜視」という2つに分類されます。
 
「乳児内斜視」といって、生まれて間もなくからずっと目が内側に寄ってしまっているお子さんもいらっしゃいます。
またそれよりも圧倒的に多いのは、成長に伴いだんだんと目の位置がズレていくというケースです。
 
その他に、高齢になると出てくる特有の斜視もあります
 
目はそれぞれに筋肉が6個ずつ付いていて、それをバランスよく動かし両目を正しい位置にすることでモノを立体的に一つに見たり、距離感をつかむことができるわけですが、その筋肉が弱ってきてしまうと上手くバランスが取れずに斜視になっていきます。

 

「スマホ斜視」のモノの見え方とは?

最初はモノが2つに見えるという自覚症状が出てきます。
目の見る軸が変わるため、最初の突発的な斜視の場合は突然モノが2つに見える方が多いです。

 

斜視を予防することはできますか?

 
スマホ斜視の場合は、スマホを長時間見ないように気をつけることで予防します。
先天斜視に関しては予防法はなく早めに手術をするというのがセオリーです。

 

医科歯科ドットコム編集コメント

スマホ斜視の場合は、スマホを見る時間を短くするなどの生活習慣の改善でほぼ回復ができる、とのことでした。従来の斜視とは異なる症状なのですね。
しかし、生活習慣を変えてもスマホ斜視が改善しない場合は、最終的に手術となってしまうそうです。
スマホばかりを凝視しないように、気を付けたいですね。

 
取材日:2020年1月20日
 

プロフィール

とだ眼科 院長
箕田 宏 医師
 
<経歴>
東京医科大学卒
北海道大学医学部癌研 ウイルス研究生
市立根室病院 眼科部長
東京医科大学 医学部医学科臨床医学系眼科分野 客員講師
 
<専門分野> 
眼感染症
ぶどう膜炎と網膜硝子体疾患