新型コロナウイルスの猛威を現役医師が解説!ヒトからヒトへの感染爆発に注意!

 
春節を目前にして、中国の武漢市で猛威を振るう「新型コロナウイルス」は、ヒトからヒトへの感染が認められ、今もなお感染拡大が続いています。
 
このように感染症が全国的・世界的に大流行してしまうことを「感染爆発(パンデミック)」と言い、感染拡大に非常に大きな影響力を持つ感染源となった患者さんを「スーパースプレッダー」と言うようです。
 
感染拡大をどうにか防げないものなのでしょうか。救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師にお話を伺いました。
 

ヒトからヒトへの感染で「感染爆発(パンデミック)」を起こす

――どういう状況になると「感染爆発(パンデミック)」と言いますか?
 
感染症や伝染病が、全国的・世界的に大流行することを示し、「感染爆発(パンデミック)」などと表現されることがあります。
 
重篤な症状を引き起こす可能性が高い感染症で短期間に非常に多くの感染患者を発生させる場合に用いる表現です。
 
――「スーパースプレッダー」とは?
 
ヒトからヒトへの感染に関して、感染拡大に非常に大きな影響力を持つ感染源となった患者さんのことをいい、その患者さん1人から、10名以上の感染拡大に影響した患者さんを特に「スーパースプレッダー」と表現することがあります。
 

感染を拡大しないために感染源の特定が重要な意味を持つ

――空港などで実施される検疫検査について教えてください
 
通常、高熱を伴っている方の場合、今の季節であればインフルエンザの迅速検査を実施したり、血液検査を実施する場合もあります。
 
その他、滞在していた国で流行が確認された感染症に関する各種チェックを行うこともあります。
 
――ヒトからヒトへの感染という言葉をよく耳にしますが、なぜそれが重要なのですか?
 
感染源として、また感染後の変異の可能性として重要な意味を持ちます。感染源として、動物からヒトへの感染であれば、感染源となる動物を隔離・処分することで、ヒトへの感染拡大を予防しやすくなります。
 
しかし、ヒトからヒトへの感染の場合は、感染拡大の予防策が限定的になるため、感染拡大の影響度を下げることが難しくなってしまうというリスクがあります。
 
もう一つは、ヒトからヒトへの感染を繰り返すことで、ウイルスの変異・増殖が一気に加速する危険性があります。
 
また、あらゆる臓器で増殖が起こると、予期せぬ症状を引き起こしたり、重篤化リスクが増す場合もあるので注意が必要です。
 

編集部コメント:一刻も早いウイルスの終息を願うばかりです

ウイルスの「感染爆発(パンデミック)」について、小川智也(おがわともなり)医師に教えていただきました。動物からヒトへの感染であれば、感染拡大を予防しやすいようですが、ヒトからヒトへ感染してしまうと防ぐことはなかなか難しいようです。
 
2020年1月23日、武漢市では事実上の封鎖を決断し、鉄道駅や空港が閉鎖されました。感染が今後世界的に拡大させない為の措置ですが、取り残された武漢市の住民は不安な日々を送ることになります。
 
今後、小川医師の解説にもあるように、ウイルスの変異で重篤化してしまう可能性もあります。一刻も早くウイルスの流行が治まるように願うばかりです。

 

<参照>
新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(令和2年1月24日版)|厚生労働省
中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(令和2年1月23日版)|厚生労働省

 
取材日:2020年1月23日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)医師
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。