【眼科医が教える】「近視」になる理由とは?「弱視」は大人になる前の治療が大切

 
五感の中でも特に重要な視力。
疲れ眼など、目を酷使することによって不調を感じると日常生活に影響がでることもあるでしょう。
今回は、目の仕組みや、弱視について、日々数多くの患者さんを診られている、「とだ眼科」院長 箕田宏医師に教えていただきました。

 

目の構造はカメラと同じ!ピントを合わせてモノを認識する

通常、目はカメラと同じような構造をしています。
カメラでいうところの絞りにあたる光彩があり、その後ろにレンズにあたる水晶体、目の後壁に網膜という物を見る大事なフィルムに当たる組織があります。
そのフィルムである網膜に写った像を見て視力を得ます。
 
目玉の形や大きさによって、フィルムまでの距離が変わってしまうなどの理由でピントが合わないというのが、近視、遠視、乱視という屈折異常です。
こうした原因でぴったりと網膜で像を結ばないという場合、メガネやコンタクトレンズによる矯正を行います。

 

“目が悪い”ということが遺伝することもある

屈折異常である近視、遠視、乱視はある程度は遺伝があると思います。
家族性の屈折異常というものがあり、ご両親が強い近視の場合お子さんにも近視の傾向が出ることがあります。
これは親子で顔立ちが似るのと同じように目玉の形が似てくるというものです。
 
また別に、視力不良に至る遺伝性の病気というものもあります。
そのような意味で病気としての遺伝と、体質による病気でないタイプの屈折異常の遺伝があります。

 

「弱視」は早めに治療することが大切

弱視は一般的に遠視か乱視が生まれつき強い方に多いのですが、常にピントがぼけた状態で網膜に像が映っています。
人は生来網膜にきちんと像が映ることで視力の発達を得るため、像がぼやけて見えてるままで成長すると視力の発達が途中で止まってしまうのです。
 
 

成人する前に網膜の視力を育てる

適切な対処をしないまま成人してしまうと、メガネなどでピントを合わせても良好な視力が得られなくなってしまいます。
そうならないために弱視になっていないかを眼科で事前に確認してもらうことが大切です。
弱視の場合、治療用メガネでピントを網膜にしっかり合わることによって、視力の成長を促していきます。
 
 

編集部コメント

目の構造はカメラに似ているという例えで、箕田先生にわかりやすく説明していただきました。
また、弱視は成人する前に治療用のメガネを使用して網膜にピントを合わせて、視力の成長を促進することが大切だそうです。
次回では「視力の発達や変化」について箕田先生に引き続き教えていただきます。
 
 
取材日:2020年1月20日
 

プロフィール

とだ眼科 院長
箕田 宏 医師
 
<経歴> 
東京医科大学卒
北海道大学医学部癌研 ウイルス研究生
市立根室病院 眼科部長
東京医科大学 医学部医学科臨床医学系眼科分野 客員講師
 
<専門分野> 
眼感染症
ぶどう膜炎と網膜硝子体疾患