【現役医師に聞く】あなたがいま長引いてる風邪、もしかして白血病かも!? 短時間で済む検査方法とは?

前回に引き続き、白血病をテーマに江戸川病院の腫瘍血液内科副部長である明星智洋(みょうじょうともひろ)医師に、白血病の自覚症状や検査方法などを教えていただきます。
風邪のような症状でも、実は検査をしてみると白血病であることもあります。

 

微熱、体重の減少、貧血などが白血病の自覚症状

白血病の症状というのは風邪と似ています。
長引く微熱、ダイエットをしていないのに体重が落ちていく、あとはどこからも出血をしていないのに貧血の症状がある、鼻血が止まらない、歯ぐきから出血する、ぶつけてないのに青あざができる、というのも症状の一つです。
また動悸、息切れ、疲れやすさ、怠さ、などがあると白血病の可能性があります。
 
セルフチェックで貧血があるかどうかみることができて、鏡の前であっかんべーとしていただいて、目の下まぶたの裏側を見てください。
赤ければ貧血ではないのですが、白ければ貧血があるということです。
ただ若い女性の場合生理であるという可能性もありますので、生理中でもないのに貧血があり、そして微熱もあり、というのであれば疑ってもいいのかも知れません。

 

日常的によくあると思いがちな風邪の症状にも注意

採血をしなければ中々わかりませんので通常風邪だったら近所のクリニックへ行くと思いますが、なかなか治らない風邪に関しては血液検査をしてもらうように患者さんからもお願いをしてみるのも一つの手かも知れません。
今はクリニックでも白血球や赤血球の値だけは簡易的に測れるところが多くあります。
採血してだいたい10分くらいで結果もわかりますので、気軽にできる検査だと思います。

 

血液検査以外の検査は骨髄液を採取、細胞表面のマーカーの調査や染色体の検査

急性骨髄性白血病は、がん細胞が骨髄の中で増えていくものなので、血液検査でまずはきっかけを作ります。
確定診断で本当に骨髄の中に悪い細胞がいるのかどうか調べる為に、骨髄検査というものをおこないます。
また、感染症や他の病変がないかをチェックするために全身のCT検査をおこないます。
 
骨髄というのは骨の中に血液を作っている工場のようなものですが、骨髄検査をする場所は腸骨に針を刺して、骨髄液を1cc程度抜いて、顕微鏡で見ることで診断をつけます。
骨髄液を抜いて顕微鏡で見るほかに、細胞表面のマーカーを調べたり、染色体の検査をおこなったりします。
 
骨髄は骨の中にあるものですから、どこの骨の中でもあります。
頭蓋骨でも手の骨でも、足の骨でもいいのですが、実際多く取るところとしては腸骨のところです。
うつ伏せになって、腸骨のところに針をさして、骨髄液を抜き、通常であれば、1、2週間で確定診断がつきます。
ただ、急性白血病で待てないような場合はその限りではありません。
 
急性リンパ性白血病の場合も骨髄の中でがん細胞が増えていくので骨髄検査は必要です。
また、肝臓や脾臓が腫れたり、全身のリンパ節が腫れたりすることがあるので、診断には全身のCT検査も必要となってきます。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

自覚症状の1つ1つはありがちなものが多いのですね。ついそのうち治るだろうと思ってしまいますが、おかしいなと思ったらついでの検査、短時間で済むのでぜひ心がけたいです。
続いては白血病だとわかった場合、どのような治療があるのかをお話いただきます。

 
取材日:2019年10月16日
 

プロフィール

江戸川病院
腫瘍血液内科副部長
明星 智洋 医師
 
<資格>
日本内科学会認定内科認定医
日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、指導医
日本血液学会認定血液専門医、指導医
日本化学療法学会認定抗菌化学療法認定医、指導医
日本癌治療学会認定がん治療認定医
インフェクションコントロールドクター(ICD)
Total nutritional therapy修了
 
<略歴>
2001/3 熊本大学医学部卒業
2001/4 岡山大学医学部附属病院腎・免疫・内分泌・代謝内科
2001/10 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 内科
2003/4 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 血液内科医員
2004/4 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液科
2005/4 癌研究会有明病院 化学療法科・血液腫瘍科
2009/4 江戸川病院 腫瘍血液内科
2009/10 同医長
2012/4 同副部長
2016/1 東京がん免疫治療センター長(兼任)
2016/10 Hyper medical creator就任
2018/2 プレシジョンメディスンセンター長(兼任)
 
<専門分野>
がん薬物療法(抗がん剤治療) 血液疾患(良性・悪性含む)
感染症管理、免疫療法日々、市中病院にてがん診療の最前線で抗がん剤中心の治療をおこなっている。
Hyper medical creatorとして、上場企業やベンチャー企業と、医療現場をつなげることをライフワークとしており、ユーグレナ、資生堂などとも連携している。
オンライン診療や栄養、人工知能、職場の環境改善など幅広い領域で、橋渡しをおこなっている。
その傍ら、趣味として梅酒が健康にどう影響するのか、どの料理と合うのかなど探究し、一般社団法人梅酒研究会設立、全国での梅酒まつりや品評会を主催している。
 
<出演・監修>
朝日放送 たけしの『みんなの家庭の医学』出演
映画『ゆめはるか』医療監修、出演
映画『サクラ花』医療監修
土曜ワイド劇場『切り裂きジャックの告白』医療監修
映画『うまれる ずっといっしょ。』アドバイザリーボード
その他、新聞などのメディアへの掲載多数
著書『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』(すばる舎)
 
<その他>
株式会社オリィ研究所 顧問
株式会社マイロプス 顧問
一般社団法人梅酒研究会 代表理事
MRT株式会社 取締役