【救急医に聞く】お酒の飲みすぎで意識がない!応急処置と救急車を呼ぶ判断とは?

 
無理にお酒を飲みすぎてしまうと、突然意識がなくなってしまうこともあります。救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわ ともなり)医師に、お酒の飲みすぎで呼吸が不安定な場合の応急処置についてお話しを伺いました。意識がなく呼びかけに応じない場合は、躊躇せずにすぐ救急車を呼ぶことが大切なようです。
 

呼吸が不安定な場合は、嘔吐物が気管に詰まらないように横向きに寝かせます

――お酒の飲みすぎで呼吸が不安定な場合、どのような応急処置をしたら良いですか?
 
呼吸が不安定な時は、立って歩けず、話せないなど意識も鮮明ではない状態です。このような状況では、突然意識がなくなってしまう場合や、急変する場合もあるので注意してください。
 
また、飲み会などの場合、お酒とともに食事もたくさん食べていることが多いと思います。意識が無くなって嘔吐など伴うと、嘔吐物が気管に詰まり窒息などを起こす危険性があるので特に注意が必要です。
 
呼吸が不安定な場合や意識がはっきりしない場合、急変や嘔吐による窒息を防止するため、できれば右腕側を下にして横向きの仰向けに寝かせ、本人の右腕を枕替わりするなどして呼吸しやすい体制を取らせるとともに、万が一嘔吐しても嘔吐物が詰まらないようにすることが大切です。
 

意識がなく呼びかけに応じない場合は、すぐに救急車を呼び救命処置を行います

――ぐったりして、呼吸が止まっている可能性のある場合はどうしたら良いですか?
 
顔が青ざめている場合や呼びかけに応じない、口鼻に耳を当てても息が感じられない場合は、周囲に助けを求め、救急車を呼ぶとともに、心臓マッサージや人工呼吸などの救命処置をおこなってください。そこまでの状態はよっぽどの状況です。
 

医科歯科ドットコム編集部コメント:意識がない場合は、躊躇せずに救急車を呼びましょう

お酒の飲みすぎで呼吸が不安定な状態になった場合の応急処置について、小川智也医師に教えていただきました。顔が青ざめていたり、意識がなく呼びかけに応じない場合は異常事態ですので、躊躇せずに救急車を呼んでほしいと思います。
 

<参考>
119番の正しいかけ方|総務省消防庁
①119番にダイヤル(携帯電話からかける時でも、固定電話と同じく局番無しの”119″でOKです。)
②「火事ですか? 救急ですか?」と聞かれたら、「救急です」と答えます。
③住所、目印を告げます。
④事故や傷病者の状態を説明。
⑤通報者の氏名、電話番号を告げます。
⑥サイレンの音が聞こえたら、出来るだけ救急車を誘導してください。
⑦救急隊員が到着しましたら、行った応急手当、容体の変化、傷病者の既往歴などを詳しく報告してください。

 
取材日:2019年12月13日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA
 
2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。