【医師に聞く】医療機関で何度も繰り返し聞かれる「今日はどうされました?」は今後なくなる!?

 
地域や診察をする医師と連携をし、その職務の拡大を期待されている薬剤師ですが、現状どのように連携し情報をやりとりをしているかみなさんご存知でしょうか?
実は想像しているよりもだいぶ情報共有が少ないようです。
薬剤師の免許と医師の免許両方を持ち、両方の現場で勤務経験がある医療法人社団聡叡会あすかクリニック院長織田先生に問題点をお伺いしました。

 

医師と薬剤師をつなぐ患者情報は処方箋だけ!?

 

処方箋以外の情報はどうやってやりとりしてるの?

私が、薬剤師として働いていた時にもずっと疑問だったのですが、主治医から薬剤師にくる情報は処方箋くらいしかありません。
 
処方箋には薬の名前や分量が書いてあるだけです。
なので、目の前の患者さんがどういった病状でこの薬を飲んでいるのかは、直接、患者さんに聞かないと得られないというわけです。
 
今後は、薬剤師もカルテが読めるようにしましょう、という動きが出てきています。
もちろん、病院内にいる薬剤師の場合、どういった病状で薬が出ている、同じ施設内なので見ることができますが、患者さんが外に薬をもらいに行く場合はわかりません。
 
さらに、かかりつけでもなく、その場その場で調剤をしてもらうとなると、果たしてそれで管理としての薬剤師の役割が何かできるかとなると情報不足でほとんど何もできないことが多いです。

 

医療機関は情報共有がされていない!?

薬剤師が、お薬を調合する際にはもちろんこれが「普段と同じ薬ですか?」「なぜこれを飲んでいるのですか?」と患者さんに聞きます。
 
患者さんとしてはついさっき病院の予診で看護師さんに「今日はどうされました?」と話を聞かれたあとに、診察室で医師に「今日はどうされました?」と同じことを話をします。
そして薬局に行き、ようやく薬がもらえると思ったらまた「今日はどうされました?」と聞かれます。
 
体調が悪い中、医療機関に行き、この様な状態は全くナンセンスなので怒る患者さんもいらっしゃいます。

 

体調の変化?書き間違い?処方箋だけでは判断できない

今後は情報を共有しないといけないというのはみんなが思っていることですし、業務上も共有していたほうがスムーズなほうが多いです。
 
たとえば薬の数が、ずっと同じだったものが、ある時いきなり数が減った場合、これは患者さんと主治医の間で何か取り決めがあって決まったものだと思います。
 
薬の量を減らしていきましょうということで減らされたのか、もしくは飲み忘れておうちに残薬があります。
だから今回減らしました、ということなのか。
それともキーボードの打ち間違いで数が減っているのか、薬剤師には数しか書いていない処方箋しかないので、わからないのです。
 
その場合、まず患者さんに聞かないといけませんが、その変化の理由を理解している方ならいいのですが、理解していない方もなかにはいらっしゃいます。
その場合、確認だけでもとても大変になります。

 

医師の出した処方箋に異議を唱える「疑義照会」ってナニ?

処方箋がおかしいと思ったときは、薬剤師から医師に対して疑義照会(ぎぎしょうかい)をします。
 
私が処方をしたあとに薬局から疑義照会のお電話があり、これで正しいですかと言われて、これは私のミスでした、と投薬ミスが事前に防げたというようなこともありました。
ですので、疑義照会は必要な仕組みだと思います。

 

医師と薬剤師にとって負担のかかる確認作業

私が薬剤師として医師に疑義照会をした際、相手の医師がつれない返事であったり、逆に私が医師として疑義照会を受ける側になったとき、すごく忙しい外来の時に医師からしたらその通り出しておいてくれたらいいのにと思うような質問もあります。
 
忙しい病院や、生命にかかわるようなことを臨床の現場でやっているような時に疑義照会でかかってくるとイラっとした返事になってしまうこともわかります。

 

個人情報やセキュリティの問題でカルテの共有ができない

私は薬剤師として疑義照会もしていたので、医師として答える際にはできるだけていねいに答えるようにしています。
 
ですが、電話ではわかりづらいこと、伝わりにくいこともあるので、カルテなどの書面を見てもらえれば済む話というのは山ほどあります。
 
そこを円滑にできるシステムがあればと多くの人が感じていますが、なかなか整備されないのはやはり個人情報の保護の観点や、セキュリティの問題だったりするのかと思います。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

思った以上に薬剤師へ情報共有がされていないことに驚きました。処方箋と患者から教わる情報から基本判断して、おかしいなと思ったら確認の電話を医師にするということです。
 
人手の足りていない現代、情報の共有が早くなされて受診者、医療機関、薬局ともに手間が減るように整備を急いでいただきたいものです。
現状の対処法はよく自分の現状を分かってくれるかかりつけをクリニック、薬局ともに作ることかもしれません。
 
患者が持つ情報の1つであるお薬手帳の役割について、次回引き続き織田先生に伺います。

 
取材日:2020年1月8日
 

プロフィール

織田 聡医師

医師 薬剤師 医学博士 僧侶
 
医療法人社団聡叡会あすかクリニック院長
一般社団法人健康情報連携機構代表理事
LITERRAS MEDICA株式会社 CEO 代表取締役社長
株式会社アクセルレーター 取締役
 
日本型統合医療を提唱し、西洋医学と補完医療の有機的連携構築が専門。東洋医学的哲学を基盤に、ICTやAIなどを活用した先進的医療にも精通する。
 
現役医師として臨床業務の傍ら、少年野球からe-Sportsまで多くのスポーツ振興に関わり、ヘルスケアデバイスの開発や医療用アイソトープ国産化など種々の事業にも参画している。
 
また、僧籍(臨済宗妙心寺派)をもち、早くから禅の医療や介護への利用を模索している。寺院を活用した地域コミュニティ再生にも期待されている。