【医師に聞く】薬剤師はもっと近い距離に!?患者さんのフォローアップからアセスメントまで行う医療機関との連携とは?

 
変わりつつある薬局と薬剤師さんの役割について、前回は、薬局の機能の変化をお伺いしましたが、今回は薬局の外で期待される薬剤師の役割について、医師免許と薬剤師免許の2つを持つ、織田聡先生にお伺いします。

 

今後期待される薬剤師の役割とは?

 

時間が経ってしまっていた診察後のチェック

近くの薬局に相談がしやすくなるという診療の前の役割の変化だけではなく、診療後の薬剤師の役割も注目されています。
 
たとえば診察室で診察をしてその病状に対する薬を出しますが、次はいつ来ますかというと慢性疾患だと1か月~2か月先に来ることになります。
新しい薬を出したらもう少し短く1週間~2週間後にもう一回ちょっと来てくださいというように予約をいれていきます。
 
そのため血圧を下げる薬を出したあと、どれくらいその薬が効いているのかがわかるのは、2週間先や、2か月先になります。

 

患者さんと会う機会の多い薬剤師ができること

薬剤師は、患者さんが病院にいかなくても薬局などの店舗でお話をする機会があったり、もしくは在宅医療で最近は薬剤師が自宅に行くケースもあります。
 
そこで得た情報を医療機関に提供するなど、いわゆる薬を飲んだ後のフォローアップ、アセスメントに至るところまでが薬剤師の職域になっていく可能性があります。

 

医療機関との連携の現状

すでに薬剤師によるフィードバックがはじまっている?

一部動きは始まっています。
しかし、現状ではお薬を届ける、そしてちゃんと飲めているかどうかという数のチェックにとどまっていることが多いです。
 
処方された量を飲んでいるにも関わらず、効果がそこに認められないということを、きちんと主治医側に情報としてあげることができるとなると、薬剤師のプロとしての職域が広がっていくと思います。
 
薬剤師が単に薬をピッキングして袋に詰めるではなく、対モノではなく対ヒトに職域が広がろうとしています。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

薬を飲んでよくなっているのか変えたほうがいいのか、もう一度クリニックに行ったほうがいいのか、患者本人にはなかなか分からないことだろうと思います。
そこを専門家の薬剤師さんと相談できたら、患者さんの行動も変わりそうですね。
続いては、期待されるような連携をとっていくために課題となっている情報の共有について織田先生に伺いました。

 
取材日:2020年1月8日
 

プロフィール

織田 聡医師

医師 薬剤師 医学博士 僧侶
 
医療法人社団聡叡会あすかクリニック院長
一般社団法人健康情報連携機構代表理事
LITERRAS MEDICA株式会社 CEO 代表取締役社長
株式会社アクセルレーター 取締役
 
日本型統合医療を提唱し、西洋医学と補完医療の有機的連携構築が専門。東洋医学的哲学を基盤に、ICTやAIなどを活用した先進的医療にも精通する。
 
現役医師として臨床業務の傍ら、少年野球からe-Sportsまで多くのスポーツ振興に関わり、ヘルスケアデバイスの開発や医療用アイソトープ国産化など種々の事業にも参画している。
 
また、僧籍(臨済宗妙心寺派)をもち、早くから禅の医療や介護への利用を模索している。寺院を活用した地域コミュニティ再生にも期待されている。