【医師が解説】気になる「顔のたるみ」糸の刺激で新しい皮膚の組織をつくる方法とは?

 
顔がたるんでフェイスラインが下がってくると、見た目年齢や印象が変わってしまうことがあります。このような場合にクリニックでは、糸を使うことで顔のたるみを改善させる施術があるそうです。
 
「銀座Mitaクリニック」院長の三田 麻津子(みた あつこ)医師にお話を伺いました。施術に使う糸は2種類あり、溶けて吸収されるものが主流のようです。
 

「スレッドリフト」とは?糸を使うとどんな効果がありますか

――糸を使った、肌のハリを出す施術について教えてください
 
肌のたるみを改善してハリを出す施術で使用する糸は、以前は溶けないものもありました。しかし、今は溶けるものが主流になっています。
 
使用する糸の形は大きく2種類あり、まっすぐでVの字になっている糸と、糸自体にトゲの付いているものがあります。

 

ハリが出て引きしまる「Vリフト」

Vの字になっている糸は、「Vリフト」という治療に使います。
 
このVリフトの糸が実際に針に入った状態は、糸の片方は針の中に入っていて、もう片方は針の外に出ていてその端を発砲スチロールのような玉で針と軽く止めてあります。
 
針を抜くと糸がちょうどVの字で皮膚の中に残るというものになります。一番細い30ゲージの針を使い、短い糸を片側50本程入れます。
 
多く入れることで面に広く糸が入り、皮膚を刺激します。その刺激で新しい組織ができ、肌のハリツヤがでて少し引きしまる感じがでます。
 
細めの髪の毛くらいの糸を細かく皮下に入れることでそのような効果をもたらす治療がVリフトです。本数を多く入れる方がより効果がでます。

 

たるみを引き上げる「コグリフト」

トゲのある糸を使うものを「コグリフト」と言います。この糸のトゲが組織に引っかかる感じです。
 
マジックテープを思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。片側が輪で片側がトゲになり、それが引っかかってつくようになっていて、その曲がっているトゲのイメージに近いと思います。
 
入れた時に中の細かい繊維層や細胞などに引っかかり引き上げます。また、本数を入れてあげればそこに組織もできて支えになり、肌のハリも出てきます。
 
コグリフトは本数が多ければいいというものではありません。気になる箇所の引き上げできるよう入れるので、例えばほうれい線だと線に沿って入れて、横から引っ張ることもあるので入れる本数は合計6本程度です。

 

顔に入れた糸は徐々に吸収されてほぐれていきます

――顔に入れた糸はその後どうなりますか?
 
糸自体は1年くらいで吸収されて、徐々にほぐれてなくなります。
 
引っ張る力も落ちてくるのですが、いきなり糸が切れてプツンと落ちるのではなく、自分の組織もできているので、上がった状態を維持しながら少しずつ落ちてきます。
 
――糸は必ず入れなおしたほうがいいのでしょうか?
 
落ちてきたな、ちょっとたるんでいるなと思った時が糸の入れ時だと思うので、何年後というものはありません。
 
長期間維持されていてずっとそのままにされる方もいらっしゃいますし、気に入ったからまめに1年や1年半で再度やりたいという方もいらっしゃいます。
 
――施術を繰り返すとたるみますか?
 
繰り返すことが原因でたるむことはありません。ですが、切るのではなく余った皮膚を引き上げている分、どこかにひずみができることはあります。
 
例えば、無理にグイグイ上げるとひずみができてしまい、もち上げるだけでなくどこかが膨らみどこかが凹んで、という余剰皮膚のたわみができる可能性はあります。
 
ただ、徐々に馴染んでいきます。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント:切らないたるみ改善法は、糸を使って新しい組織を作り出す方法

三田 麻津子(みた あつこ)医師に、「スレッドリフト」という糸を使った肌のたるみにアプローチする施術について教えていただきました。
 
糸で引っ張るだけでなく、糸が皮膚に入ることで刺激され、新しい組織を増やす効果があるのですね。
 
肌に入れた糸は徐々に溶けて吸収されて徐々にほぐれていくとのことでした。

 
取材日:2019年12月17日
 

プロフィール

銀座Mitaクリニック 院長
三田 麻津子(みた あつこ)医師
 
<経歴>
北里大学医学部医学科卒業
北里大学病院形成外科入局
北里大学病院形成外科勤務
湘南鎌倉総合病院形成外科勤務
シロノクリニック勤務
マホロバクリニック勤務
オザキクリニック勤務
広尾プライム皮膚科勤務