遺伝的にお酒が飲めない人が飲むと・・・急性アルコール中毒になる危険性がある!【救急医に聞く】


遺伝的にお酒が飲めない人がいるのはご存知でしょうか。
無理にお酒を飲んでしまうとアルコールを分解できず、急性アルコール中毒になる危険性があります。
救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、急性アルコール中毒になりやすい人について伺いました。
また、日光とアルコールの関係性についてもお話しされています。
 

遺伝的にアルコールを分解できない人もいることを知っておきましょう

――急性アルコール中毒になりやすい人はいますか?
 
体の中でアルコールを分解する力というのは遺伝的に決まっていて、アルコールを分解する酵素がある方とない方がいらっしゃいます。
正確には3つに分類されており、NN型(お酒に強い)、ND型(ある程度は飲める)、DD型(ほとんど飲めない)に分かれます。
 
あとは体格や性別でも代謝能力が異なります。女性は女性ホルモンがアルコール分解酵素の働きを抑制するため、分解力が男性より弱いと考えられています。
そのため、体格が小柄な方や女性の方は血中アルコール濃度が比較的上がりやすいと言えるでしょう。
 
――痩せている人の方が急性アルコール中毒になりやすいですか?
 
体格的にはなりやすいですが、先程の通りアルコール分解酵素がしっかりある方はそうではありません。
 

日光×アルコールに注意!アルコールの分解が遅れてしまいます

――日光を浴びてからお酒を飲むと急性アルコール中毒になりやすいですか?
 
長時間の日光浴の後に大量のアルコールを摂取することは、脱水が進行しやすくなるので注意しましょう。
また、日焼けによるストレスから体を守るために「ビタミンB1」が大量に必要となります。
 
実はアルコール分解にも「ビタミンB1」が必要となるため、日光浴時のアルコールの摂取でアルコール分解が遅れてしまう可能性があると言われています。
 

医科歯科ドットコム編集部コメント:海水浴やバーベキュー、マラソンなど野外レジャーでの飲酒に注意!

急性アルコール中毒になりやすい人について小川智也医師に教えていただきました。遺伝的にお酒を飲むことができない人がいるということを知っておきましょう。
もしそのような人が無理にお酒を飲んでしまうと、急性アルコール中毒になるリスクがあります。
 
また、海水浴やバーベキュー、マラソンなど野外レジャーで、長時間日光を浴びた後(あるいは日光を浴びながら)は、特にお酒の飲み方に注意が必要です。
アルコール濃度に注意し、みんなが楽しい食事となるように配慮しましょう。
 
取材日:2019年12月13日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。