【救急医が教える】目の前の人が突然倒れた!あなたが最初にすべきこととは?

 
もし目の前の人が突然倒れたら、あなたはどうしますか?意識がない・呼吸をしていないなど、心肺停止の状態の場合は、いかに早く救命処置をおこなえるか、そして「AED」(心肺停止のときに電気ショックを与えるもの)を使用するかどうかで救命できる確率が変わるようです。
 
救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、目の前で倒れた人がいた場合の対処方法と、ヒアリなどの虫刺されによるアナフィラキシーショックについてお話しを伺いました。アナフィラキシーショックはしばらくすると呼吸困難になるなど、重篤な症状となることもあり注意が必要です。
 

目の前で倒れた人がいたらまずは周囲に助けを!救急車・AEDを用意しましょう

――目の前で倒れた人がいた場合、まずはどうしたら良いですか?
 
可能な限り、必ず救命処置をしてほしいです。目の前で倒れた場合では、適切な処置を施せばかなりの確率で救命できます。ご自身で救命処置に自信がなければ、とにかく人を集める、周囲の人に知らせ助けを求めることが重要です。
 
そして、救命処置に「AED」を使用すれば、救命できる確率は格段に高くなります。もし、ご自身が救命処置をできなくても、誰かできる人がいるかもしれないので、とにかく人を集めて助けを求めることはとても重要です。
 
――AEDの使い方などがわからない場合はどうしたら良いですか?
 
わからなくとも、まずはAEDの箱を開けてほしいです。AEDの箱を開けると液晶ランプが点灯する、音声ガイダンスが流れるなどして操作方法を導いてくれる機種がほとんどですので、安心してください。
 
救急車を呼ぶ際、電話でもAEDの使い方をアドバイスしてくれます。使い方がわからないと心配するよりも、まずは行動を起こすこと、そして常日頃からどこにAEDが設置されているかを把握しておくことがとても重要です。
 

動悸・息苦しさを感じたら救急車を!アナフィラキシーショックの危険性があります

――ヒアリなど、虫に噛まれたり刺されたりした場合の対応は?
 
ヒアリの場合は、通常のアリとは比較にならないくらい噛まれるとかなり痛いと言われています。症状としては、局所の腫れや周囲の発疹、じんましんが出る場合もありますが、場合によってはアナフィラキシーショックを起こす危険性もあります。ヒアリに噛まれた場合は病院受診をおすすめします。
 
刺された場所が赤く腫れた場合やじんましん症状が出た場合は、なるべく早期に受診をしましょう。その症状が急激に全身に広がる場合や、動悸・息苦しさなどの症状を伴ってきた場合はすぐに救急車を呼んでください。このような症状は、ヒアリに噛まれてから20分~30分以内に出ることが多いです。
 

医科歯科ドットコム編集部コメント:行動できる人になろう!目の前の人も誰かにとって大切な人

目の前で倒れた人がいた場合の対処方法と、ヒアリなどの虫刺されによるアナフィラキシーショックについて、小川智也医師に教えていただきました。目の前で倒れている人を見つけたら、誰かが対応してくれているだろうと思うのではなく、率先して救助のサポートをする必要があります。
 
なぜなら、救助は一人ではできないからです。救急車を呼ぶ人、AEDを持ってくる人、胸骨圧迫と人工呼吸による心肺蘇生をおこなう人が必要です。他人だと関わるのが怖いと感じてしまいがちですが、目の前の人も誰かにとって大切な人だということを考えて欲しいと思います。
 
取材日:2019年12月13日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。