ふとした時に気になる眉間(みけん)のしわ・・・眉間や目尻のしわを改善して印象アップするには「ボトックス」を使った治療が効果的だそうです。
ボトックスってよく耳にするけど、安全なの?効果は?という疑問を専門医に伺いました。
形成外科・皮膚科・美容皮膚科・美容外科でエイジングケアにも力を入れており、患者さんからの信頼も厚い「あらおクリニック」院長 荒尾直樹先生に詳しく説明していただきます。
「ボトックス」ってどんなもの?安全性は!?
「ボツリヌス菌」と聞くと食中毒を思い浮かべる人もいるかもしれませんが・・・。
まず「ボトックス」と「ボツリヌス菌」との関係ですが、「ボトックス」というのは「ボツリヌストキシン」、つまり「ボツリヌス菌」が産み出す毒素(トキシン)だけを取り出したものです。
つまり、「ボトックス」の中に「ボツリヌス菌」は一切含まれていません。
「ボツリヌストキシン」は、注入した部位の筋肉の動きを止めることができて、その薬理作用をしわの治療に、あるいは眼科や整形外科でも病気の治療に使われています。
抗生物質もカビが生み出すペニシリンから始まったように、「ボトックス」も「ボツリヌス菌」が生み出す毒素を有効に利用しています。通常しわの治療に使う量の10倍のトキシンが身体の中に入ったとしても、まったく問題はない(※最大投与量は400単位とされている)ので、危険性はありません。
小顔をキープするには半年に1回のボトックス注射!
小顔ボトックスというのは、食いしばってしまう方と同じく咬筋(こうきん)へボトックスを行います。この咬筋が発達すると四角張ったホームベース状の輪郭になってしまいます。
咬筋にボトックスを打つと、筋肉の動きが止まりだんだんと痩せていきます。そうすると小顔効果が生まれるため、咬筋のボトックスを小顔ボトックスとして注射をしています。
しかし、打ってすぐに小顔になるというわけではなく、打った後、筋肉が痩せるまで時間がかかるので段々と小顔になっていくイメージです。効果が出始めてから、半年に一度程度、少量を打っておくと小顔効果をキープできます。
歯ぎしりにもボトックスが効く!?
また、歯ぎしりでお悩みの方も多いです。歯ぎしりというのは咬筋が異常に発達してしまって、歯を夜中食いしばってしまうものです。ボトックスを咬筋に打つことで歯ぎしりがなくなり、歯への負担が減り、すごく楽になったと喜ばれる方が多いです。
眉間・お鼻・おでこ・あごにボトックスを打ち、しわの発生源にアプローチ
眉を寄せる皺眉筋(すうびきん)という筋肉が眉間の縦ジワの原因となります。そこにボトックスを打つと筋肉の動きが止まり、縦ジワが作れなくなります。また、お鼻にできる横ジワは鼻根筋(びこんきん)が原因ですが、これも眉間と同様に治療します。
その他のお顔の部分ではあごや首のしわなどがあります。あごは、自分では気がつかない梅干しじわなどに使います。また、首には広頚筋(こうけいきん)という筋肉があり、広頚筋が拘縮(こうしゅく)を起こすと筋肉のつっぱりが出てきます。ボトックスを打つと拘縮がとれてきれいになります。
脇汗には4ヶ月に1回のボトックスがおすすめ
脇にボトックスを打つと汗が9割くらい減るため、汗の量や臭いを抑えることができます。ボトックスの効果は約4か月ほどなので、4か月に1度がおすすめです。ボトックスを打つ頻度は脇に限らず、他の箇所も同じ間隔です。
ボトックスには、汗や皮脂の分泌を止める作用があるため、脇に打つと脇にある汗腺の作用を止めることができ汗の量がぐんと減ります。汗染みや臭いなどでお悩みの方は、脇ボトックスを受けられるのもいいと思います。
笑ったときに歯茎が見えてしまうガミ―スマイルもボトックスで改善
ガミ―スマイルというのは、笑った時に唇が上に上がり過ぎて歯茎が見えてしまう笑い方のことを言います。
ガミースマイルの発生には2つの筋肉、上唇挙筋(じょうしんきょきん)と上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん)が関係していて、これらの筋肉にボトックス注射をすることで、ガミ―スマイルは改善します。あまり治療を行っているところがないため、当院にはよく治療したいという方がいらっしゃいます。
編集部コメント
ボトックスはしわを目立ちにくくしたり、汗をおさえてくれたりと自分のコンプレックスを減らしてくれるものなのですね。そして安全性の高い治療という点も伺うことができました。お顔のしわや脇汗が気になる方はぜひ検討されてみてはいかがでしょうか?
引き続き、ボトックス注射の治療の流れや治療を受ける時期、気をつけたいことについて荒尾先生に詳しく教えていただきます。読者の参考になれば幸いです。
取材日:2019年11月28日
プロフィール
<資格>
医学博士
日本形成外科学会認定 形成外科専門医
昭和大学藤が丘病院形成外科 兼任講師
美容レーザー適正認定医(日本美容医療協会認定)
日本抗加齢美容医療学会(MBF)
<略歴>
1996年 鹿児島ラ・サール学園高等学校卒業
2002年 昭和大学医学部卒業
2002年 昭和大学藤が丘病院形成外科入局
2006年 昭和大学大学院医学研究科卒業、医学博士号取得
2007年 佐賀大学医学部附属病院形成外科 助教・外来医長 (文部教官)
2008年 昭和大学藤が丘病院形成外科
2009年 青山ラジュボークリニック院長就任
2012年 横浜市青葉区にて、あらおクリニック開業
<所属学会>
日本形成外科学会
日本美容外科学会(JSAPS)
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本美容医療協会
国際美容外科学会(ISAPS)