【救急医が教える】年末年始の救急要請の判断、いざという時のために備えるべきこと


事故や病気、ケガなどはいつどこで起こるか分かりません。特に年末年始などの長期休暇は、病院が閉まっていることもあります。救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、年末年始などの長期休暇で事前にすべきこと、救急要請をおこなう際の判断についてお話しを伺いました。我慢しすぎて症状が重篤化してしまう可能性もあり注意が必要です。
 

救急当番病院、近隣の病院の診療時間を事前に調べて確認することが重要

――年末年始、出産を控えている妊婦さんはどうしたら良いですか?
 
出産に限らず、年末年始は特に何も起こらないと思うのではなく、何かが起こっても大丈夫なように近隣医療施設の診療体制を確認しておくことが重要です。
 
・年末年始に診療する救急当番病院
・近隣の病院の診療科や診療時間
 
上記のことを事前に確認しておきましょう。確認しておくことで無駄な手続きがなく、受診までがスムーズです。
 
――救急搬送された場合、産婦人科医など専門の医師ではないこともありますか?
 
現在は臨床研修医制度がしっかりしており、専門の医師でなくても初期対応の医療処置が充分におこなえる実力を持つ医師がほとんどです。救急搬送される病院のほとんどは、臨床研修指定病院などです。研修医の医師が初期対応をおこなっている場合でも、専門の医師が必ずバックアップしていますので大丈夫です。
 

症状が徐々に悪化している場合は、重篤化する前に救急外来へ受診してください

――救急外来を受診する基準はありますか?
 
定期的に夜間外来などを受診することはないと思いますが、本当に救急処置が必要な患者様への診療にも影響が出てしまうので、「早く診てくれるから」などの理由で気軽に受診することは控えてください。
 
ですが、一方では症状を我慢しすぎるのも良くない場合があります。症状が徐々に悪化する場合は、重篤化する前に救急外来を受診して、医師からの指示を仰ぐことが良いかと思います。
 

編集部コメント:本当に救急処置が必要な患者さんがいることを考えましょう

年末年始などの長期休暇で事前にすべきこと、救急要請をおこなう際の判断について、小川智也医師に教えていただきました。妊婦さんなど、容体が急変し救急搬送されることもあり得るケースかと思います。出産に限らず、事故や病気、ケガなどでいつ病院にお世話になるか分かりませんから、事前に調べておくと安心ですね。
 
ただし、都合よく自己中心的な考えで救急車を呼ぶことは控えましょう。本当に緊急事態で救急処置を必要とする患者さんがいることを考え、要請の判断をおこなうべきです。自分ではどうにもできないと感じたら、すぐに連絡しましょう。
 
取材日:2019年12月13日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。