【救急医が答える】インフルエンザによる高熱で熱性けいれん…年末年始に増える救急要請とは


基本的に年末年始は病院が開いていないことが多いです。風邪などで寝正月となってしまうのは大変つらいものですが、もしインフルエンザなどの高熱でお子さんがぐったりとしている場合は、救急外来を受診した方が良いかも知れません。救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、年末年始に増える救急要請についてお話しを伺いました。
 

年末年始はお酒の飲みすぎで、ふらつきによる転倒事故・ケガが多いです

――年末年始に増える救急要請は、どういったものがありますか?
 
年末年始に増える救急要請は、急性アルコール中毒や交通事故、ケガに伴う搬送です。お酒に伴うトラブルとして、ふらつきによる転倒などのケガが多く見られます。
 
また、小数ではありますがインフルエンザに伴う搬送などもあります。基本、年末年始は医院が閉まっているので、発熱などで心配になり救急外来を受診される方が多くなります。
 

インフルエンザによる高熱で、熱性けいれんなど重篤化することもあります

――インフルエンザによる高熱で、救急搬送されることはよくあることですか?
 
インフルエンザで救急搬送されることは、そんなに多くありません。ただ、インフルエンザに感染すると急激に熱が上がることが多くあります。それに伴い、小児では熱性けいれん、意識混濁といった状態で搬送されてくるケースはあります。
 
また、「インフルエンザ脳症」になるなど、非常に重篤な状態になってしまうケースもありますので、重症化を防ぐという意味でインフルエンザワクチンの接種は非常に重要な意義があると思います。
 
――インフルエンザだと思って受診したら、溶連菌だったということもありますか?
 
溶連菌(ようれんきん)の可能性はあります。基本的にどちらも、発熱やだるさなどの症状があります。ほかの症状(のどの痛み、下痢など)も確認した上で、様々な可能性を探りながら診察します。
 
場合によっては、溶連菌とインフルエンザを同時に感染してしまうこともあります。溶連菌は「菌」、インフルエンザは「ウィルス」の感染ですので、両方同時に感染してしまう可能性もあり得るのです。
 

編集部コメント:「インフルエンザ脳症」など重篤化することもあり、心配な場合は救急外来へ

年末年始に増える救急要請について、小川智也医師に教えていただきました。お酒の飲みすぎでふらつきによる転倒事故が多いほか、年末年始は基本的に病院が開いていないこともあり、特に子どもの高熱で救急外来を受診する方もいらっしゃるようです。
 
また、インフルエンザなどの感染症に伴い、高熱による熱性けいれんを起こすこともあるようです。「インフルエンザ脳症」など、重篤化してしまうケースもありますので、心配な場合は救急外来を受診した方が安心ですね。
 
取材日:2019年12月13日
 

プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。