【救急医に聞く】高齢者が餅をのどに詰まらせた!すぐにすべきことは入れ歯を取り外すこと


新年を迎え、年の始まりになぜか食べたくなるのがお餅です。しかし、高齢者や子どもは注意が必要です。お餅がのどに詰まり、呼吸困難で救急車に運ばれるケースが毎年ニュースになっています。
 
救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、お餅でのどを詰まらせてしまう原因と、高齢者がのどを詰まらせた時すぐにすべきことについてお話しを伺いました。
 

冷えると固まる餅、高齢者がのどに詰まらせる原因は飲み込む力の衰え

――お餅をのどに詰まらせてしまう原因は何ですか?
 
お餅が詰まるケースは、食道に詰まり飲み込めない場合と、気道を塞いでしまい呼吸困難を起こす場合があります。まずは、どちらが起こっているのか見極めることが必要です。呼吸ができなくなっている場合は命に関わる危険な状態ですので、すぐに適切な処置が必要となります。
 
お餅がのどに詰まる場合、お餅のタイプにもよりますが色々な原因があります。1つは、お餅が温かいおつゆの中に入っていて、トロっとした柔らかい状態のまま食べたのに、お口の中で温度が下がることでお餅が少し固くなり、飲み込めず詰まってしまったという場合です。
 
高齢者の場合は、ゆっくり食べるのですが飲み込む力が弱く、温かくて柔らかいお餅を冷まして飲み込もうとしたとき固まってしまい、思いのほか飲み込むことが出来なかったという場合があります。
 
2つ目は、一気にお餅を食べることで一度に飲み込めず、詰まってしまうという場合があります。子どもの場合は、本当に勢い良くお餅を食べて詰まってしまうことがありますね。もしくは、親御さんが食べるのを急かしてしまって、むせてしまう場合もあります。
 

高齢者が入れ歯を使用している場合は、まずは入れ歯を取り外します

――高齢者がお餅をのどに詰まらせてしまったら、まずはどうしたら良いですか?
 
高齢者の場合、まず注意することは、お餅が詰まって息苦しいという症状があって、もし入れ歯をはめているようでしたら、すぐ外すようにしてください。お口の中にお餅や具材が残っているようなら、極力取り除きましょう。これは、お餅を吐き出しやすくさせることと、食べ物が誤って気管に流入すること(誤嚥)を防ぐ為です。
 
よく掃除機でお餅を吸い出すと言いますよね。しかし、すぐに出来ないときは、まずは入れ歯を外して、手でお餅が取れるようだったら取り除いてください。それで意外と、のどに詰まったお餅が取れる場合もあります。
 

編集部コメント:かみ切りやすい大きさにして、少しずつ食べるようにしましょう

お餅でのどを詰まらせてしまう原因と、高齢者がのどを詰まらせた時すぐにすべきことについて、小川智也医師に教えていただきました。お餅は温かいとふにゃふにゃと伸び、冷えると固まってしまいます。
 
高齢者や子どもが食べる場合は、かみ切りやすい大きさで少しずつ食べるようにしましょう。また、もし高齢者がのどに詰まらせた場合は、すぐに入れ歯を取り外すようにしましょう。
 
取材日:2019年12月13日
 
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プロフィール

小川智也(おがわともなり)
救急科専門医 MBA

2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。

国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。

2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。

2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画

自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。