【皮膚科医に聞く】巻き爪にならないために!実は2種類ある巻き爪の症状とは?

 
足の爪が変形して起きる「巻き爪」ですが、爪が皮膚に突き刺さった状態と爪が内側に丸まって皮膚がつままれた状態の2種類あるようです。
皮膚科医である「渋谷スキンクリニック」院長の吉田貴子(よしだたかこ)医師にお話を伺いました。

 

巻き爪の症状は2種類!それぞれの治療法とは

――巻き爪とはどのような症状ですか?
 
一般的に巻き爪は2タイプあります。
1つ目は「刺し爪(さしづめ)」です。漢字で「刺す」と書きますが、まさに爪が皮膚に刺さっている状態で、少し触っても痛いような状態です。
多くの場合、爪が刺さっている部分は皮膚が赤く腫れて盛り上がった「肉芽(にくげ)」が出来ます。
 
2つ目は、「挟み爪(はさみづめ)」です。一般的に皆さんが巻き爪と呼んでいる症状です。
爪の先端がくるりと内側に巻き込まれてしまい、指先の皮膚を巻き込んだ状態で、爪で常に皮膚がつままれているので、こちらも痛みが起こります。
 
刺し爪と挟み爪はそれぞれ治療法が全く異なります。

 

①「刺し爪(さしづめ)」の治療法

まず刺し爪は、基本的に爪を短く切った場合に起こりやすく、特に斜めに切り込んでしまった人に起こりやすい症状になります。
なので、爪の角を斜めに切り込まず、まっすぐスクエアの形で爪を伸ばすように指導しています。
 
すでに短く切ってしまっている場合には爪を伸ばす過程で痛みを伴いますので、常にテーピングをして痛みを和らげ、爪を伸ばしやすくできるようクリニックで指導しています。
テーピングをご自宅で実行していただき、爪が伸びるのを待っていると、刺さった部分が解消されて刺し爪が解消します。それに伴い、肉芽も痛みも消退します。
 
基本的にはクリニックで積極的に治療を行うというよりも、ホームケアで解消することができる症状になります。
 
しかし、テーピングが上手くできない場合や、爪が伸びるまで我慢できない場合などには、手術にて治療することもあります。
 
出来る限り、テーピングで治療することをお勧めしていますが、やむを得ず手術を選択する方もいらっしゃいます。手術は数十分で終わり歩行して帰ることが出来ますので、意外と手軽に受けられます。

 

②「挟み爪(はさみづめ)」の治療法

続いて挟み爪の場合は、爪の端が内側に丸まって皮膚を挟んだ状態で、病院での治療が主体になります。弾性ワイヤーという形状記憶のワイヤーを爪に装着し、食い込んだ爪を外に開かせるように治療します。
 
装着時には、ほとんど痛みを感じることはありません。
 
装着して2週間から1ヶ月、長くて2ヶ月ほどワイヤーを入れたままにします。食い込んだ爪が徐々に開いてきいきますが、痛みは装着直後から解消ことがほとんどです。

 

巻き爪にならないためには、足に合った靴と正しい歩行が大切です

――自分にあった靴を履いて、歩行に気をつけることが大事ですか?
そうですね。靴はヒールの高くない靴ひもがあるものがベストです。履く際には毎回靴の後ろにかかとを付け、足が前に移動しないようにしっかり靴ひもで固定してください。

 
【正しい歩行とは】
歩行の際にかかとから着地して、最後に指先が地面から離れる歩き方をすると親指の腹にも力がかかるので、巻き爪の予防になると言われています。

 

編集部コメント:深爪に注意!痛みを感じたら皮膚科へ相談しましょう

今回は、皮膚科医の吉田貴子医師に巻き爪の治療について教えていただきました。
巻き爪になると痛みで歩行がつらくなってしまいます。
爪を切る際は深爪しないように気を付けることが大切です。
もし痛みを感じていたら、放置せずに皮膚科へ相談するようにしましょう。

 
取材日:2019年10月25日
 

プロフィール

吉田 貴子医師
皮膚科・美容皮膚科医 「渋谷スキンクリニック」院長
一般皮膚科と美容皮膚科の両方を開設し、男女問わずあらゆる肌の悩みに向き合う。著書に「ヘアピンでもできる!毛穴スッキリ!美肌メソッド」がある。
 
<略歴>
帝京大学医学部 卒業
同大学付属病院皮膚科学教室 勤務
東京警察病院皮膚科 勤務
帝京大学付属溝の口病院皮膚科 修練生
東京都内クリニック 前院長
<所属学会>
日本皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本小児皮膚科学会会員
日本臨床皮膚科医会会員
日本禁煙学会会員