【内分泌内科医に聞く】男女比1:5の「バセドウ病」。治療と日常生活について気をつけるべきポイントを解説

 
この連載では「バセドウ病」の症状や治療法について、内分泌内科の専門医である小菅由果(こすがゆか)先生に詳しいお話を伺っています。
 
バセドウ病の治療中でも日常生活を普通に送ることができるのか?気をつけるべきポイントなどをお聞きしました。
 

 

治療をしながら日常生活を普通に送ることはできますか?

仕事をしながら、または学校に行きながら治療をされているかたはたくさんいます。
 
ただ、発症したばかりでまだホルモンが高い状態の場合は、動けば動くほどホルモンが下がりにくくなるので、たとえば学校に通っている学生の場合には、体育や部活動をホルモンが安定するまではお休みする、また通勤などお仕事をしているかたに関しては、いつも歩いて移動しているところを車での移動に変える、運動の習慣があって毎日ジムにいくという場合はジムをお休みするなど、出来るだけ身体に負担のないように安静にすることでホルモンが下がりやすくなります。
 
発症した直後は、出来る限り安静にすることに気をつけていただければと思います。

 

タバコの喫煙は影響しますか?

喫煙は甲状腺の病気の治りを悪くさせますし、バセドウ病というのは眼症といって眼の周りの筋肉が腫れ症状などが出ることもあります。
 
この眼の症状というのは、タバコを吸っているかたに多いともいわれているので、基本的にバセドウ病と診断されたかたに関しては、禁煙と安静は守っていただくことになります。

 

食事とバセドウ病は関係ありますか?

食事に関しては、一部でヨウ素をとらないほうがいいのではないかという話もありますが、それは欧米のような日本とは違う食生活に関して言われていることになりますので、日本で生活している日本人に関してはヨウ素の取りすぎなどの摂取量は特には気にしなくていいと思います。

 

バセドウ眼症について痛みはありますか?

眼の腫れる場所にもよりますし一概には言えないので、眼科でのチェックが必要です。MRIなどを通して診断することになるのですが、周りの脂肪組織や筋肉が腫れることで少し眼の痛みを訴えるかたもいます。
 
(次回に続く)

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

「甲状腺ホルモンが高い状態の場合は安静に気をつける必要があるものの、仕事や学校と治療を両立している方も多いです。」と小菅由果医師はおっしゃいます。
 
また、バセドウ病のかたは特に喫煙は気をつけたほうがいい、とのことでした。
 
次回では月経や食生活についての注意事項について、引き続きお話いただきます。

 
取材日:2019年10月17日
 

プロフィール

小菅 由果医師
元聖路加国際病院内分泌代謝科
元伊藤病院内科
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本甲状腺学会甲状腺専門医