【内分泌内科医に聞く】多くの芸能人やスポーツ選手が公表している「バセドウ病」とは?

 
甲状腺の病気というと、一般的には馴染みがないかもしれません。
でも「バセドウ病」という名前は聞いたことがある人が多いのではないでしょうか?
多くの芸能人やスポーツ選手がバセドウ病を公表しており、歴史上ではクレオパトラがかかった病気という説もあります。
若い女性に多いイメージではありますが、具体的にどんな症状でどんな人がなりやすいのでしょうか?
 
今回は聖路加国際病院や表参道の伊藤病院内科に在籍していた、専門医である小菅 由果(こすが ゆか)医師にインタビューして教えていただきました。
まずは甲状腺ホルモンとバセドウ病の症状についてお話を伺います。
 

 

甲状腺ホルモンとはどのようなものですか?

――バセドウ病は甲状腺ホルモンが関係するそうですが、それはどんな役割をしているのでしょうか?
 
まず甲状腺がどこにあるかですが、首の喉仏の下あたりにあります。
蝶々のようなかたちをしていてそこから甲状腺のホルモンがでるわけですが、どんな働きをしているのか一言でいうと「身体の元気を調整する」ホルモンです。
 
たとえば脳が活性化を調整をしたり、身体の新陳代謝を調整したり、または心臓や胃腸、肝臓といった身体のなかの各臓器の元気の度合いを調整するような働きをしています。
 
甲状腺のホルモンがあることによって、身体のなかの体温の調整が一定になるようにして身体の元気を調整することができる、ということになります。

 

バセドウ病とはどんな病気でしょうか?

バセドウ病は甲状腺のホルモンが必要以上に出すぎてしまう、という病気になります。
甲状腺が働きすぎている状態で、難しい言葉にすると、甲状腺の機能が亢進しているということで甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症という言い方もします。
 
甲状腺のホルモンが働きすぎている状況なので、頭が活性化して必要以上に興奮したようになったり、落ち着きがなくなりイライラする症状につながってきます。
 
身体の新陳代謝の調節に関わる部分に関しては、甲状腺ホルモンが出すぎることによって新陳代謝が亢進してひどく活性化してしまうので、体温が上がって汗がだらだら出たり、身体の代謝が非常によくなりすぎる、という症状につながってきます。
 
また、甲状腺のホルモンが心臓や胃腸、または肝臓などに働くと、それらの臓器の働きも活発化してしまいます。
心臓の働きが活発化すると、心臓の脈が速くなり動悸がする、といった症状になります。
胃腸に関わってきますと、胃腸の動きが活発化しすぎてしまって下痢や軟便などの症状につながってしまいますね。
 
肝臓に関しては、肝臓は症状が出ないので採血での結果になるのですが、肝臓の数値が異常に高くなることがあります。

 

どんな人がバセドウ病にかかりやすいですか?

まず男女比でいうと、男性より女性のほうがなりやすい病気です。
だいたい男性1に対して女性が5~6倍です。
年代としては、20代~50代の年代がバセドウ病になりやすく、もちろん子供や高齢者もなる病気ではありますが、その多くは20代~50代がかかる病気になります。
 
日本人全体でいうと、バセドウ病は400人~500人に1人くらいの割合といわれているので、比較的よくある病気のうちのひとつにはなるでしょう。
 
甲状腺の病気は内科的な病気であり遺伝的な要素があるのですが、ご家族に甲状腺の病気の方がいると、やはりそうではない方に比べて非常になりやすい病気です。
ご家族または家系のなかに甲状腺の病気をもっている方がいる場合は、人一倍注意したほうがいいと思います。

 

バセドウ病の自覚症状にはどんなものがありますか?

バセドウ病の場合に一番多いのは動悸ですね。
 
あとは暑がりです。どうしても新陳代謝が良くなりすぎて体温が高くなるので、周りが寒いと言っているのに自分はすごく暑いという症状がでたり、食事をどんなに食べても太らないといったことで来院するかたが多くなります。

 

バセドウ病はどのようにして診断しますか?

バセドウ病は採血の結果で診断することが多いです。そのなかでも抗体というものをもっているかいないかが重要です。
 
バセドウ病に特異的な抗体をもっていればバセドウ病と診断できるのですが、その抗体をもっているからといって甲状腺ホルモンが必ずしも上がるとは限りません。
 
抗体をもっていながら今は甲状腺ホルモンの値が正常なので症状が出ていない、という人もいます。
 
ですから、抗体をもっていることが分かっている人に関しては、抗体をもっていない人に比べると今後の発症する割合が非常に高くなるので、1年に1回くらいは定期的なホルモンの採血をお勧めしています。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

遺伝的な要因もあるとのことなので、家系に甲状腺の病気をもっている方がいる場合は注意したほうがいい、と小菅由果医師がお話してくださいました。
 
バセドウ病の検査では血液検査のお話が出ましたが、具体的に採血でわかる免疫の元となる抗体とはどのようなものでしょうか?
 
次回もバセドウ病の診断方法とその抗体についてインタビューが続きます。

 
取材日:2019年10月17日
 

プロフィール

小菅 由果医師
元聖路加国際病院内分泌代謝科
元伊藤病院内科
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本甲状腺学会甲状腺専門医